無痛性心筋梗塞を合併した器質的冠狭窄のない肥大型心筋症の1例

「要旨」肥大型心筋症に心房細動, さらに無痛性の心筋梗塞を合併し, 冠動脈造影で有意の冠狭窄を認めなかった症例を報告する. 60歳男性で, 肥大型心筋症にて経過観察中心房細動が出現し, その約3ヵ月後に中隔から下壁の無痛性心筋梗塞を合併した. 冠動脈造影で有意の狭窄を認めなかったことから, 本症例の心筋梗塞の機序として, 心房細動に伴う冠動脈血栓塞栓症およびその後の塞栓溶解が推測された. 肥大型心筋症(HCM)に心筋梗塞が合併したと考えられる症例については, すでに幾つかの報告がある1)2). しかし, 器質的冠狭窄を伴わない心筋梗塞の合併例はまれである3)~6). 今回, 肥大型心筋症の症例...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 47; no. 3; pp. 211 - 214
Main Authors 杉浦, 龍登, 辻, 明徳, 吉村, 力也, 赤星, 隆一郎, 米村, 政昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1993
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.47.211

Cover

More Information
Summary:「要旨」肥大型心筋症に心房細動, さらに無痛性の心筋梗塞を合併し, 冠動脈造影で有意の冠狭窄を認めなかった症例を報告する. 60歳男性で, 肥大型心筋症にて経過観察中心房細動が出現し, その約3ヵ月後に中隔から下壁の無痛性心筋梗塞を合併した. 冠動脈造影で有意の狭窄を認めなかったことから, 本症例の心筋梗塞の機序として, 心房細動に伴う冠動脈血栓塞栓症およびその後の塞栓溶解が推測された. 肥大型心筋症(HCM)に心筋梗塞が合併したと考えられる症例については, すでに幾つかの報告がある1)2). しかし, 器質的冠狭窄を伴わない心筋梗塞の合併例はまれである3)~6). 今回, 肥大型心筋症の症例で, 外来にて経過観察中に無痛性心筋梗塞を合併し, 冠動脈造影にて有意の器質的狭窄を認めなかった症例を経験したので報告する. 「症例」患者 : S. H. 男性 60歳 主訴 : 全身倦怠感 既往歴 : 高血圧, 糖尿病, 肥満, 喫煙なし 現病歴 : 1983年から肥大型閉塞性心筋症(HOCM)の診断で外来観察中で, propranolol 60mgとdiltiazem 90mg/日を服用し, 血圧は110~150/60~90mmHgにコントロールされていた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.47.211