自己血採血におけるVVR発症例の検討と対策

同種血輸血に伴う副作用合併症は感染症と免疫学的反応に大別される. これらに対して白血球除去, ウイルスの不活化の研究, 核酸増幅検査(NAT)の導入などにより同種血輸血はより安全なものとなっている. 一方献血率の低下により, 推計人口をもとにした予測では2025年には輸血使用量の63%しか供給出来ないとされている1). 自己血輸血推進の理由として, 輸血リスクの軽減 や献血由来の輸血使用量の削減への貢献, 採血による患者自身の造血能の亢進, 同種血輸血に対する不安解消などの利点があげられる. 自己血輸血の欠点としては, 貯血保存中の血液バッグ破損, 採血血液の凝固, 細菌汚染, 貯血量貯血期間...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 329 - 334
Main Authors 佐藤, 裕二, 安田, 慶秀, 小林, 寿美子, 岩谷, ユリ子, 近藤, 正男, 神山, 俊哉, 西部, 俊哉, 篠原, 敏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2002
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.48.329

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Summary:同種血輸血に伴う副作用合併症は感染症と免疫学的反応に大別される. これらに対して白血球除去, ウイルスの不活化の研究, 核酸増幅検査(NAT)の導入などにより同種血輸血はより安全なものとなっている. 一方献血率の低下により, 推計人口をもとにした予測では2025年には輸血使用量の63%しか供給出来ないとされている1). 自己血輸血推進の理由として, 輸血リスクの軽減 や献血由来の輸血使用量の削減への貢献, 採血による患者自身の造血能の亢進, 同種血輸血に対する不安解消などの利点があげられる. 自己血輸血の欠点としては, 貯血保存中の血液バッグ破損, 採血血液の凝固, 細菌汚染, 貯血量貯血期間の制限, 不使用血の廃棄などがある. 採血時の合併症としてはvaso-vagal reHex(VVR), 過換気症候群, 不均衡症候群, 皮下出血血腫, 動脈穿刺, 神経損傷, 成分採血時のクエン酸反応まどがある. なかでもVVRは絶食, 不眠, 過度の緊張などが誘因となり, 重大な合併症を引き起こす場合がある. 当院においては, 1997年9月より輸血部による自己血採血と保管管理を開始した. 今回, 自己血采血に伴うVVR発症例について, その原因と対策を検討したので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.48.329