大腸癌手術における硬膜外麻酔と排尿機能障害に関する検討

目的:大腸癌手術の術後回復強化プログラムの中には硬膜外麻酔による鎮痛が組み込まれている.今回,クリニカルパス使用でのバリアンス評価で排尿機能障害が問題となったため後ろ向きに検討を行ったところ硬膜外麻酔が影響していると考えられた.そのため硬膜外麻酔の条件を変更して改善を認めるか検討した.対象と方法:2010年3月から2010年8月までで開腹手術の35例を変更後の後期群とし,従来の方法での前期群27例と比較した.硬膜外麻酔は従来の方法として0.2%ロピバカインにフェンタニル(1μg/ml)加えたものとし,変更後はロピバカインを0.13%に調製し,排尿機能障害との関連を検討した.結果:後期群では排尿...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 204 - 208
Main Authors 中森, 正二, 辻仲, 利政, 三賀森, 学, 三嶋, 秀行, 安井, 昌義, 池永, 雅一, 宮崎, 道彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2012
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.65.204

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Summary:目的:大腸癌手術の術後回復強化プログラムの中には硬膜外麻酔による鎮痛が組み込まれている.今回,クリニカルパス使用でのバリアンス評価で排尿機能障害が問題となったため後ろ向きに検討を行ったところ硬膜外麻酔が影響していると考えられた.そのため硬膜外麻酔の条件を変更して改善を認めるか検討した.対象と方法:2010年3月から2010年8月までで開腹手術の35例を変更後の後期群とし,従来の方法での前期群27例と比較した.硬膜外麻酔は従来の方法として0.2%ロピバカインにフェンタニル(1μg/ml)加えたものとし,変更後はロピバカインを0.13%に調製し,排尿機能障害との関連を検討した.結果:後期群では排尿機能障害の頻度が有意に減少し(p=0.02),視覚的評価尺度(VAS: visual analog scale)を用いた疼痛評価でも鎮痛効果に有意差を認めなかった.結論:硬膜外麻酔薬の濃度変更を行うことで鎮痛効果を保持したまま排尿機能障害の頻度を減少させることができた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.65.204