直腸癌術後早期に再発増大をきたした転移性痔瘻癌の1例
症例は50歳代男性.10年来の痔瘻と便潜血陽性にて当院受診.肛門3時方向に瘻孔を認め,下部消化管内視鏡では肛門縁から12cmに全周性の腫瘍を認め生険にて高分化型腺癌であった.直腸癌の診断にて手術施行.膀胱浸潤のため膀胱を合併切除し回腸導管造設,高位前方切除と一時的人工肛門造設を行った.術後3カ月目に術前から有する痔瘻2次口の口側に3cm大の腫瘤が出現.生険の結果高分化型腺癌であり,直腸癌再発の診断にて直腸切断術施行.切除標本にて痔管周囲および管内に腫瘍組織を認め,病理組織学的に直腸癌と類似していることから直腸癌管腔内転移による転移性痔瘻癌と診断した.痔瘻をともなう大腸癌に括約筋温存手術を行う場...
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| Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 63; no. 5; pp. 290 - 294 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本大腸肛門病学会
2010
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI | 10.3862/jcoloproctology.63.290 |
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| Summary: | 症例は50歳代男性.10年来の痔瘻と便潜血陽性にて当院受診.肛門3時方向に瘻孔を認め,下部消化管内視鏡では肛門縁から12cmに全周性の腫瘍を認め生険にて高分化型腺癌であった.直腸癌の診断にて手術施行.膀胱浸潤のため膀胱を合併切除し回腸導管造設,高位前方切除と一時的人工肛門造設を行った.術後3カ月目に術前から有する痔瘻2次口の口側に3cm大の腫瘤が出現.生険の結果高分化型腺癌であり,直腸癌再発の診断にて直腸切断術施行.切除標本にて痔管周囲および管内に腫瘍組織を認め,病理組織学的に直腸癌と類似していることから直腸癌管腔内転移による転移性痔瘻癌と診断した.痔瘻をともなう大腸癌に括約筋温存手術を行う場合は,転移性痔瘻癌を念頭におき,術式の決定,術後フォローアップを慎重に行う必要があると考えられた. |
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| ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI: | 10.3862/jcoloproctology.63.290 |