経過中に腸間膜巨大デスモイド腫瘍が発生しAPC遺伝子異常が確認された孤発性Gardner症候群の1症例

症例は38歳男性.生来健康で,特記すべき家族歴.34歳時,自覚症状はなかったが検診で便潜血反応陽性を指摘された.内視鏡検査で胃・大腸ともに数ミリから1cm大の100個以上のポリープ病変がみとめられた.大腸病変の1個に腺癌が認められ内視鏡での定期観察を受けていたが,38歳時腹部腫瘤,腹部膨満感を自覚するようになり,CTで径28cmの巨大な腹腔内腫瘤が確認された.開腹にて腫瘍および回腸・十二指腸・膵一部合併切除,右半結腸切除,上腸間膜動脈再建術を施行し,病理組織学的に腸間膜デスモイド腫瘍(線維腫症)と診断された.また,入院時の血液検査にてAPC遺伝子の変異が確認された.術後は内視鏡および画像検査に...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 63; no. 7; pp. 419 - 425
Main Authors 芹澤, 宏, 首村, 智久, 森永, 正二郎, 渡辺, 憲明, 中野, 雅, 常松, 令, 樋口, 肇, 熊谷, 直樹, 土本, 寛二, 田中, 花林, 日比, 紀文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2010
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.63.419

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Summary:症例は38歳男性.生来健康で,特記すべき家族歴.34歳時,自覚症状はなかったが検診で便潜血反応陽性を指摘された.内視鏡検査で胃・大腸ともに数ミリから1cm大の100個以上のポリープ病変がみとめられた.大腸病変の1個に腺癌が認められ内視鏡での定期観察を受けていたが,38歳時腹部腫瘤,腹部膨満感を自覚するようになり,CTで径28cmの巨大な腹腔内腫瘤が確認された.開腹にて腫瘍および回腸・十二指腸・膵一部合併切除,右半結腸切除,上腸間膜動脈再建術を施行し,病理組織学的に腸間膜デスモイド腫瘍(線維腫症)と診断された.また,入院時の血液検査にてAPC遺伝子の変異が確認された.術後は内視鏡および画像検査にて経過観察しているが5年以上経過するも再発はみとめられていない.本症例は経過中に腸間膜デスモイド腫瘍を合併し,APC遺伝子異常が確認された孤発性Gardner症候群で興味深い症例と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.63.419