転移性痔瘻癌の1例

症例は60歳の男性で,肛門周囲の疼痛,腫脹を認めたため当院受診.肛門周囲膿瘍(IILHA)の診断で切開排膿を行い,膿汁の細胞診でclassVであった.さらに指診で直腸に腫瘤様病変を認めた.下部消化管内視鏡検査で肛門縁より5cmの部位に2型の腫瘤を認め,生検で中から高分化の腺癌と診断した.下部直腸癌および痔瘻癌の診断で仙骨腹式直腸切断術を施行した.肉眼所見でRb部に5cm大の2型隆起性病変を認め,さらに歯状線から肛門入口にかけて2.5cm大の腫瘍病変を認めた.病理組織学的には直腸腫瘍は中から高分化の腺癌であり,肛門腫瘤との間に連続性はないものの同一組織であることから直腸癌の管腔内転移による転移性...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 62; no. 4; pp. 238 - 242
Main Authors 鈴木, 紳一郎, 五代, 天偉, 深野, 史靖, 小泉, 博義, 原田, 浩, 田村, 功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2009
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.62.238

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Summary:症例は60歳の男性で,肛門周囲の疼痛,腫脹を認めたため当院受診.肛門周囲膿瘍(IILHA)の診断で切開排膿を行い,膿汁の細胞診でclassVであった.さらに指診で直腸に腫瘤様病変を認めた.下部消化管内視鏡検査で肛門縁より5cmの部位に2型の腫瘤を認め,生検で中から高分化の腺癌と診断した.下部直腸癌および痔瘻癌の診断で仙骨腹式直腸切断術を施行した.肉眼所見でRb部に5cm大の2型隆起性病変を認め,さらに歯状線から肛門入口にかけて2.5cm大の腫瘍病変を認めた.病理組織学的には直腸腫瘍は中から高分化の腺癌であり,肛門腫瘤との間に連続性はないものの同一組織であることから直腸癌の管腔内転移による転移性痔瘻癌と診断した.組織学的病期はT3N1H0P0M1(鼠径リンパ節)StageIVであった.今回我々は直腸癌肛門管転移の1例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.62.238