喀血で発症した肺底動脈体動脈起始症の1切除例

症例は52歳,女性.突然の喀血で入院.気管支鏡検査では左B^<9+10>が凝血塊により閉塞していたが気管支の分岐異常は認めなかった.胸部CTおよびMRIでは胸部下行大動脈から分枝する異常血管を認め,肺動脈造影で左肺底区動脈の欠損と,大動脈造影で胸部下行大動脈より分枝し左肺底区に流入する異常血管を確認した.以上より,左肺底動脈体動脈起始症と診断し,手術を施行した.開胸時所見では下葉の臓側胸膜面全体に毛細血管が増生しており,異常血管を切断すると共に,正常域と異常域の境界が明らかでなかったため左肺下葉切除術を施行した.切除肺の病理所見では肺底区には高度の肺高血圧症所見が存在していたのに対...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 198 - 204
Main Authors 藤野, 昇三, 手塚, 則明, 花岡, 淳, 大内, 政嗣, 井上, 修平, 五十嵐, 知之, 澤井, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2006
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.20.198

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Summary:症例は52歳,女性.突然の喀血で入院.気管支鏡検査では左B^<9+10>が凝血塊により閉塞していたが気管支の分岐異常は認めなかった.胸部CTおよびMRIでは胸部下行大動脈から分枝する異常血管を認め,肺動脈造影で左肺底区動脈の欠損と,大動脈造影で胸部下行大動脈より分枝し左肺底区に流入する異常血管を確認した.以上より,左肺底動脈体動脈起始症と診断し,手術を施行した.開胸時所見では下葉の臓側胸膜面全体に毛細血管が増生しており,異常血管を切断すると共に,正常域と異常域の境界が明らかでなかったため左肺下葉切除術を施行した.切除肺の病理所見では肺底区には高度の肺高血圧症所見が存在していたのに対し,S^6は加齢に伴う変化のみであった.今回我々は,安全性を優先させ標準開胸下に下葉切除術を施行したが,病理検査の結果からは肺底区域切除術も選択可能な術式であったと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.20.198