腸間膜血管系の限局性血管炎が疑われた2小児例

我々は基礎疾患が存在しないにも関わらず腸管膜血管系の限局性血管炎が疑われた2小児例を報告した.両者とも腹痛,血便あるいは下痢を主訴に入院した.血液学的検査所見では好中球優位の白血球増多, CRP陽性,低アルブミン血症を呈し,内皮細胞の活性化や凝固・線溶系の活性化を示唆するFDP-E, D-dimer, von Willebrand因子活性値は高値を示した.腹部超音波およびCTスキャン検査では,腸間膜血管系の血管透過性の変化によると思われる小腸あるいは大腸壁の浮腫性肥厚が認められた.経過中,皮疹,出血傾向,関節炎はみられず,抗核抗体,抗DNA抗体や抗ミエロペルオキシダーゼ好中球細胞質抗体は陰性で...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 148 - 155
Main Authors 宮前, 多佳子, 森, 雅亮, 友野, 順章, 伊部, 正明, 中島, 章子, 横田, 俊平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2000
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.23.148

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Summary:我々は基礎疾患が存在しないにも関わらず腸管膜血管系の限局性血管炎が疑われた2小児例を報告した.両者とも腹痛,血便あるいは下痢を主訴に入院した.血液学的検査所見では好中球優位の白血球増多, CRP陽性,低アルブミン血症を呈し,内皮細胞の活性化や凝固・線溶系の活性化を示唆するFDP-E, D-dimer, von Willebrand因子活性値は高値を示した.腹部超音波およびCTスキャン検査では,腸間膜血管系の血管透過性の変化によると思われる小腸あるいは大腸壁の浮腫性肥厚が認められた.経過中,皮疹,出血傾向,関節炎はみられず,抗核抗体,抗DNA抗体や抗ミエロペルオキシダーゼ好中球細胞質抗体は陰性であった.以上より,腸間膜細・小動脈の限局性血管炎が疑われ,プレドニゾロンの静脈内投与が施行され,臨床症状,検査所見とも2週間以内に完全に軽快した.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.23.148