大腸癌を合併しSMAD4遺伝子異常を確認できた若年性ポリポーシスの1例

症例は40歳代男性.食欲不振と下腿浮腫を自覚し近医を受診した.貧血と低蛋白血症を認め精査のため入院となった.上部消化管内視鏡検査で胃にポリープが密生し胃ポリポーシスと診断した.下部消化管内視鏡検査では盲腸には2型腫瘍と周囲に数個のポリープが見られた.直腸には数十個のポリープを認めた.胃ポリープの生検組織像,十二指腸ポリープと直腸ポリープの内視鏡的粘膜切除の組織像から若年性ポリポーシスと診断できたが,盲腸の2型腫瘍は高分化型腺癌の診断で,回盲部切除術を施行した. 若年性ポリポーシスは従来過誤腫であるが近年悪性腫瘍の合併が多数報告され,疾患関連遺伝子としてSMAD4遺伝子とBMPR1A遺伝子の異常...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 3; pp. 170 - 177
Main Authors 三宅, 清花, 佐野, 弘治, 大川, 清孝, 有本, 雄貴, 田村, 和朗, 上田, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2011
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.64.170

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Summary:症例は40歳代男性.食欲不振と下腿浮腫を自覚し近医を受診した.貧血と低蛋白血症を認め精査のため入院となった.上部消化管内視鏡検査で胃にポリープが密生し胃ポリポーシスと診断した.下部消化管内視鏡検査では盲腸には2型腫瘍と周囲に数個のポリープが見られた.直腸には数十個のポリープを認めた.胃ポリープの生検組織像,十二指腸ポリープと直腸ポリープの内視鏡的粘膜切除の組織像から若年性ポリポーシスと診断できたが,盲腸の2型腫瘍は高分化型腺癌の診断で,回盲部切除術を施行した. 若年性ポリポーシスは従来過誤腫であるが近年悪性腫瘍の合併が多数報告され,疾患関連遺伝子としてSMAD4遺伝子とBMPR1A遺伝子の異常が報告されている.今回,若年性ポリポーシスに大腸癌を合併し,その背景因子としてのSMAD4遺伝子の異常を確認できたまれな症例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.64.170