術前に虫垂粘液嚢腫と診断し, 腹腔鏡下虫垂切除術を施行した虫垂仮性憩室の1例
症例は56歳, 男性. 便柱狭小化, 右下腹部違和感を主訴に前医を受診し, 虫垂腫瘍と診断され, 精査加療目的に当院へ紹介された. 画像検査で虫垂粘液嚢腫を疑い, 腫瘤径が約2cmと小さいため腹腔鏡下虫垂切除を施行した. 切除標本上, 虫垂間膜側に1.8cmの虫垂憩室を認め, 病理組織学的に虫垂仮性憩室と診断した. 虫垂憩室は穿孔の可能性が高く, 治療の対象となり得るが, 本症例のように虫垂粘液嚢腫と類似した画像所見を呈する場合がまれにあり, 注意を要する. 一方, 虫垂粘液嚢腫は腹膜偽粘液腫を来す恐れがあり, 従来, 開腹下の虫垂切除術や回盲部切除術, 結腸右半切除術が行われてきたが, 過形...
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          | Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 3; pp. 161 - 166 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本大腸肛門病学会
    
        2007
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0047-1801 1882-9619  | 
| DOI | 10.3862/jcoloproctology.60.161 | 
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| Summary: | 症例は56歳, 男性. 便柱狭小化, 右下腹部違和感を主訴に前医を受診し, 虫垂腫瘍と診断され, 精査加療目的に当院へ紹介された. 画像検査で虫垂粘液嚢腫を疑い, 腫瘤径が約2cmと小さいため腹腔鏡下虫垂切除を施行した. 切除標本上, 虫垂間膜側に1.8cmの虫垂憩室を認め, 病理組織学的に虫垂仮性憩室と診断した. 虫垂憩室は穿孔の可能性が高く, 治療の対象となり得るが, 本症例のように虫垂粘液嚢腫と類似した画像所見を呈する場合がまれにあり, 注意を要する. 一方, 虫垂粘液嚢腫は腹膜偽粘液腫を来す恐れがあり, 従来, 開腹下の虫垂切除術や回盲部切除術, 結腸右半切除術が行われてきたが, 過形成や粘液嚢胞腺腫では治療として虫垂切除術で十分である. 虫垂粘液嚢腫や虫垂憩室を含む小さい虫垂嚢胞性疾患全般の治療法として, まず腹腔鏡下虫垂切除術を考慮し, 必要に応じて追加腸切除を考慮すべきである. | 
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| ISSN: | 0047-1801 1882-9619  | 
| DOI: | 10.3862/jcoloproctology.60.161 |