特発性血小板減少性紫斑病合併妊娠と帝王切開
特発性血小板減少性紫斑病を合併する妊婦の場合, 胎児の頭蓋内出血を回避するために帝王切開を推奨する意見もあり, 分娩様式に関してはコンセンサスが得られていない. そこで本稿では, 特発性血小板減少性紫斑病合併妊婦を集計検討するとともに, 分娩様式と新生児合併症の危険性に関して文献的考察を加えた. 最近5年間の国立病院8施設における集計では, 特発性血小板減少性紫斑病合併妊婦は54例であった. そのうち19例は帝王切開分娩であり, 残りの35例は経膣分娩であった. 新生児54例において, 重症の新生児血小板減少症は4例発症したが, 頭蓋内出血や大量メレナなどの重篤な合併症は皆無であった. これら...
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| Published in | 医療 Vol. 56; no. 7; pp. 427 - 431 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 国立医療学会
2002
国立医療学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
| DOI | 10.11261/iryo1946.56.427 |
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| Summary: | 特発性血小板減少性紫斑病を合併する妊婦の場合, 胎児の頭蓋内出血を回避するために帝王切開を推奨する意見もあり, 分娩様式に関してはコンセンサスが得られていない. そこで本稿では, 特発性血小板減少性紫斑病合併妊婦を集計検討するとともに, 分娩様式と新生児合併症の危険性に関して文献的考察を加えた. 最近5年間の国立病院8施設における集計では, 特発性血小板減少性紫斑病合併妊婦は54例であった. そのうち19例は帝王切開分娩であり, 残りの35例は経膣分娩であった. 新生児54例において, 重症の新生児血小板減少症は4例発症したが, 頭蓋内出血や大量メレナなどの重篤な合併症は皆無であった. これらの集計結果ならびに文献上の多数報告から得られる結論は, 特発性血小板減少性紫斑病を合併する妊婦から新生児血小板減少症が出生するのはまれということになる. また, 新生児頭蓋内出血はさらにまれなものであり, しかも分娩様式とは関係ないといえる. したがって, 特発性血小板減少性紫斑病合併妊婦に対しては, 帝王切開を産科的適応がある場合だけにとどめるべきであろう. |
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| ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
| DOI: | 10.11261/iryo1946.56.427 |