リン酸化プロテオミクスのためのPhos-tagテクノロジー

Phos-tagは,中性の水溶液中においてリン酸モノエステルジアニオンを選択的に捕捉する機能性分子である.Phos-tagのリン酸モノエステルジアニオンに対する親和性は,生体中に存在する他のアニオン,例えばカルボン酸アニオンに対するそれよりも1万倍以上大きい.著者らは,Phos-tagを基盤としたリン酸化プロテオミクスに有用な技術(Phos-tagテクノロジー)を開発し,実用化している.本稿では,これまでに実用化した三つの技術について概説する.一つ目は,Phos-tagアクリルアミドを用いた電気泳動によってリン酸化タンパク質を分離する技術,二つ目はビオチン化Phos-tagを用いてウェスタンブ...

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Published in分析化学 Vol. 61; no. 6; pp. 469 - 487
Main Authors 小池, 透, 木下, 英司, 木下, 恵美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2012
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.61.469

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Summary:Phos-tagは,中性の水溶液中においてリン酸モノエステルジアニオンを選択的に捕捉する機能性分子である.Phos-tagのリン酸モノエステルジアニオンに対する親和性は,生体中に存在する他のアニオン,例えばカルボン酸アニオンに対するそれよりも1万倍以上大きい.著者らは,Phos-tagを基盤としたリン酸化プロテオミクスに有用な技術(Phos-tagテクノロジー)を開発し,実用化している.本稿では,これまでに実用化した三つの技術について概説する.一つ目は,Phos-tagアクリルアミドを用いた電気泳動によってリン酸化タンパク質を分離する技術,二つ目はビオチン化Phos-tagを用いてウェスタンブロット膜上に転写されたリン酸化タンパク質を検出する技術,三つ目はPhos-tagアガロース,あるいはPhos-tagトヨパールを用いてリン酸化タンパク質を分離・濃縮するクロマトグラフィー技術である.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.61.469