骨・関節・運動器疾患
慢性関節リウマチ患者は抑鬱的な気分を持つが, 運動浴や温泉浴の後では, 痛みや日常動作の改善のみならず, 経済的負担感や憂鬱感, 将来への不安感, 不満感, いらだちが軽減し, 病気の受け入れや幸福感に改善傾向を認めた1). 慢性関節リウマチ患者に限らず, 人は適度な運動や人との語らい, 入浴や温泉地療法により爽快な気分を味わえることはよく知られている. 吉野らは, 慢性関節リウマチ患者に落語を聞かせると, 起炎物質の一つであるIL-6濃度が低下することを報告している2). したがって, リハビリテーション, 温泉浴が同様の効果を有するのではないかと考え, 前後の炎症性サイトカインの変化を観察...
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Published in | 日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 19 - 21 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
2002
日本温泉気候物理医学会 |
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ISSN | 0029-0343 1884-3697 |
DOI | 10.11390/onki1962.66.19 |
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Summary: | 慢性関節リウマチ患者は抑鬱的な気分を持つが, 運動浴や温泉浴の後では, 痛みや日常動作の改善のみならず, 経済的負担感や憂鬱感, 将来への不安感, 不満感, いらだちが軽減し, 病気の受け入れや幸福感に改善傾向を認めた1). 慢性関節リウマチ患者に限らず, 人は適度な運動や人との語らい, 入浴や温泉地療法により爽快な気分を味わえることはよく知られている. 吉野らは, 慢性関節リウマチ患者に落語を聞かせると, 起炎物質の一つであるIL-6濃度が低下することを報告している2). したがって, リハビリテーション, 温泉浴が同様の効果を有するのではないかと考え, 前後の炎症性サイトカインの変化を観察した3,4). 今回, その変化の意義を検討し, 温泉治療学の将来像を展望した. 午前9時30分に前採血し, リハビリテーション, 温泉浴へ行き, PT/OT訓練に続いて運動浴や温泉浴を行い, 10時30分から11時までの間に帰棟すると同時に後採血した. Table1に示すように, 活動性慢性関節リウマチ患者(RA1, RA2)の血中IL-6濃度は, 前採血で正常値(4.0pg/ml以下)を上回っている. しかしながら, 後採血では, その低下を認めている(Fig. 1). 一方, より強力な起炎物質であるTNF一αやIL-1βは全例正常値(測定感度以下)であった. |
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ISSN: | 0029-0343 1884-3697 |
DOI: | 10.11390/onki1962.66.19 |