多尿を初発症状とした経過観察中に肝不全を来した1例
自己免疫機序が共通の原因と考えられる尿細管性アシドーシスと肝障害の1例を報告する. 症例は34才女性で, 既往に甲状腺機能亢進症があった. 昭和59年4月中旬より全身倦怠感出現, 症状増悪しpre-shockの状態で5月5日本院に救急入院した. 多尿と低カリウム血症及び高クロール性代謝性アシドーシスを示し, 腎尿細管性アシドーシスと診断し治療にて軽快を得ていたが, 退院3ヵ月ころより肝機能障害出現のため再入院した. 肝機能障害は重篤で, 血漿交換及びステロイドのパルス療法で軽快した. 種々の検査より自己免疫性肝炎と診断し, ステロイド維持療法にて寛解を得ている. 本例の腎尿細管性アシドーシスと...
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Published in | 医療 Vol. 41; no. 1; pp. 82 - 86 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1987
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.41.82 |
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Summary: | 自己免疫機序が共通の原因と考えられる尿細管性アシドーシスと肝障害の1例を報告する. 症例は34才女性で, 既往に甲状腺機能亢進症があった. 昭和59年4月中旬より全身倦怠感出現, 症状増悪しpre-shockの状態で5月5日本院に救急入院した. 多尿と低カリウム血症及び高クロール性代謝性アシドーシスを示し, 腎尿細管性アシドーシスと診断し治療にて軽快を得ていたが, 退院3ヵ月ころより肝機能障害出現のため再入院した. 肝機能障害は重篤で, 血漿交換及びステロイドのパルス療法で軽快した. 種々の検査より自己免疫性肝炎と診断し, ステロイド維持療法にて寛解を得ている. 本例の腎尿細管性アシドーシスと肝障害には, 自己免疫機序の関与が考えられた. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.41.82 |