Clostridium difficile の分子疫学と病原性

「1. Clostridium difficileとタイピング」Clostridium difficileは偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis, PMC)の原因菌としてよく知られており, 抗菌薬関連下痢症/腸炎(antibiotic-associated diarrhea/colitis, AAC/AAD)の主要な原因菌である. 本菌は偏性嫌気性菌であるが, 芽胞のかたちで環境に生存し続け, 院内感染をひきおこすことが知られている. 欧米では, 本菌に対する関心が非常に高く, 病院や老人ホームにおける集団発生が多数報告されている. タイピング法は感染症の集団発生の際...

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Published in日本細菌学雑誌 Vol. 53; no. 4; pp. 611 - 619
Main Authors 加藤, はる, 中村, 信一, 加藤, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 1998
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ISSN0021-4930
1882-4110
DOI10.3412/jsb.53.611

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Summary:「1. Clostridium difficileとタイピング」Clostridium difficileは偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis, PMC)の原因菌としてよく知られており, 抗菌薬関連下痢症/腸炎(antibiotic-associated diarrhea/colitis, AAC/AAD)の主要な原因菌である. 本菌は偏性嫌気性菌であるが, 芽胞のかたちで環境に生存し続け, 院内感染をひきおこすことが知られている. 欧米では, 本菌に対する関心が非常に高く, 病院や老人ホームにおける集団発生が多数報告されている. タイピング法は感染症の集団発生の際に, 感染源や感染経路の調査に利用されており, C. difficileにおいても, 集団発生の解析に種々なタイピング法が利用されている. タイピングによる解析は, 疫学的調査に利用されるだけではなく, 微生物の生態や病原性の研究に有用である. C. difficileにおいては, 院内感染の疫学調査, 消化管への定着の仕組み, 病原性の違い, といった問題を解決する鍵の一つとしてタイピング法が役立てられている.
ISSN:0021-4930
1882-4110
DOI:10.3412/jsb.53.611