診断に苦慮した進行大腸癌術後に発見された慢性C型肝炎合併胆管細胞癌の1例
症例は70歳の男性. 2002年6月, 他院でS状結腸癌に対しS状結腸切除術が施行された. 経過観察目的で当院を初診した際に, 腹部USで肝S5,6に3.5cm大の円形の腫瘤を認めた. CTでは,腫瘤は辺縁不整で,中心部を除いて強い造影効果を認めた. こうした画像所見と,患者がC型肝炎ウイルス抗体陽性で, かつ進行大腸癌術後であったことから, 肝細胞癌・転移性肝癌・胆管細胞癌との鑑別が問題となった. 2003年2月6日, 肝右葉切除術を施行した.病理組織学的には, HE染色では立方型の腫瘍細胞からなる高分化管状腺癌の組織像であり, 転移性肝癌よりも胆管細胞癌を疑う所見であった. Cytoker...
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          | Published in | 胆道 Vol. 18; no. 2; pp. 217 - 223 | 
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| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本胆道学会
    
        2004
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0914-0077 1883-6879  | 
| DOI | 10.11210/tando1987.18.2_217 | 
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| Summary: | 症例は70歳の男性. 2002年6月, 他院でS状結腸癌に対しS状結腸切除術が施行された. 経過観察目的で当院を初診した際に, 腹部USで肝S5,6に3.5cm大の円形の腫瘤を認めた. CTでは,腫瘤は辺縁不整で,中心部を除いて強い造影効果を認めた. こうした画像所見と,患者がC型肝炎ウイルス抗体陽性で, かつ進行大腸癌術後であったことから, 肝細胞癌・転移性肝癌・胆管細胞癌との鑑別が問題となった. 2003年2月6日, 肝右葉切除術を施行した.病理組織学的には, HE染色では立方型の腫瘍細胞からなる高分化管状腺癌の組織像であり, 転移性肝癌よりも胆管細胞癌を疑う所見であった. Cytokeratin(CK) 7,CK 19,CK 20による免疫組織学的検索を施行した結果, 腫瘍細胞はCK 7,CK 19に陽性,CK 20に陰性であり, 胆管細胞癌と確定診断した. 本症例は,進行大腸癌術後のC型肝炎患者に発生した肝腫瘍で, 術前画像診断に苦慮した. CK profile が, 胆管細胞癌と転移性肝癌との鑑別に有用であった. | 
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| ISSN: | 0914-0077 1883-6879  | 
| DOI: | 10.11210/tando1987.18.2_217 |