同時性多発肝転移を認め,極めて予後不良であった上行結腸内分泌細胞癌の2例

同時性多発性肝転移を認め,極めて予後不良であった上行結腸内分泌細胞癌の2例を経験した.症例1は81歳の男性で,上行結腸癌の診断で右半結腸切除術を行ったが,術中に多発性肝転移を認めた.全身状態が不良であることと同意が得られなかったことより化学療法は行わなかった.術後5カ月11日で原癌死した.症例2は68歳の女性で,前医より上行結腸癌および多発性肝転移の診断にて紹介された.多発性肝転移のため根治術は困難であったが,腸閉塞予防のため右半結腸切除術を行った.同意が得られず化学療法は行わなかった.術後3カ月2日で原癌死した.大腸内分泌細胞癌は早期より肝転移,リンパ節転移,腹膜播種をおこしやすく極めて予後...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 61; no. 2; pp. 95 - 100
Main Authors 尾形, 高士, 鈴木, 芳明, 松土, 尊映, 野村, 朋壽, 青木, 利明, 島津, 元秀, 寿美, 哲生, 勝又, 健次, 青木, 達哉, 安田, 祥浩, 石崎, 哲央, 土田, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.61.95

Cover

More Information
Summary:同時性多発性肝転移を認め,極めて予後不良であった上行結腸内分泌細胞癌の2例を経験した.症例1は81歳の男性で,上行結腸癌の診断で右半結腸切除術を行ったが,術中に多発性肝転移を認めた.全身状態が不良であることと同意が得られなかったことより化学療法は行わなかった.術後5カ月11日で原癌死した.症例2は68歳の女性で,前医より上行結腸癌および多発性肝転移の診断にて紹介された.多発性肝転移のため根治術は困難であったが,腸閉塞予防のため右半結腸切除術を行った.同意が得られず化学療法は行わなかった.術後3カ月2日で原癌死した.大腸内分泌細胞癌は早期より肝転移,リンパ節転移,腹膜播種をおこしやすく極めて予後不良である.自験例では同意が得られず化学療法は行わなかったが,外科的治療だけでは根治は難しく,効果的な補助化学療法の確立が望まれる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.61.95