MPHA法に用いる血小板抽出抗原クロロキン処理法の確立

血液疾患などの患者に頻回の血小板製剤を輸血すると同種抗体が産生され, 血小板輸血無効状態に陥ることがある. それらの同種抗体のほとんどはHLA抗体であるが, その他の血小板不応答の原因抗体は血小板特異抗体と考えられ, 血小板特異抗体は新生児血小板減少性紫斑病(NAITP), 輸血後紫斑病(PTP)の原因となる. それ故に患者の血小板特異抗体の有無や特異性の解明, 血小板特異抗原適合血小板の送出などを実施するために供血者の血小板特異抗原の型を事前に検査しておくことは臨床的に重要である. そのためには血小板特異抗血清や血小板特異抗原既知パネルの確保が必要である. しかし, 血小板同種抗体検出法であ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 803 - 810
Main Authors 成瀬, 妙子, 金, 信子, 浜中, 泰光, 能勢, 義介, 清水, 準也, 坊池, 義浩, 荒木, 延夫, 柴田, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1991
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.37.803

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Summary:血液疾患などの患者に頻回の血小板製剤を輸血すると同種抗体が産生され, 血小板輸血無効状態に陥ることがある. それらの同種抗体のほとんどはHLA抗体であるが, その他の血小板不応答の原因抗体は血小板特異抗体と考えられ, 血小板特異抗体は新生児血小板減少性紫斑病(NAITP), 輸血後紫斑病(PTP)の原因となる. それ故に患者の血小板特異抗体の有無や特異性の解明, 血小板特異抗原適合血小板の送出などを実施するために供血者の血小板特異抗原の型を事前に検査しておくことは臨床的に重要である. そのためには血小板特異抗血清や血小板特異抗原既知パネルの確保が必要である. しかし, 血小板同種抗体検出法である血小板浮遊蛍光抗体法1)(platelet suspension immunofluorescence test: PSIFT)に用いるパラホルムアルデヒド処理された血小板浮遊液は4℃で1週間しか保存できず, また紫田ら2)が開発した混合受身凝集法(mixed passive haemagglutination test:以下MPHA法)のプレートに固相された血小板は4℃で2ヵ月の保存3)しかできない. 1988年柴田ら4)はMPHA法を用いた血小板同種抗体の検索, 収集及び同定用パネル用に長期間, 安定して準備することが可能な血小板抽出抗原パネルを開発した. しかし, 血小板抽出抗原中にはHLAクラス1抗原が存在する為, 血小板特異抗体とHLA抗体のいずれであるかの鑑別ができないという問題があった. 1985年Nordhagenら5)は血小板表面よりHLAクラス1抗原を選択的に除去することが可能なクロロキン処理法を記載した. 著者らはこの問題の解決法として, クロロキン処理により血小板抽出抗原中のHLAクラス1抗原が除去できるかについて検討し, その除去法を確立したので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.37.803