骨髄移植希望患者における血清学的タイピング不能例のHLA-DNAタイピングの有用性

骨髄移植は白血病, 再生不良性貧血等の難治性血液疾患の完治療法として, 近年日本においても確立されている. しかし, 骨髄移植を行うには患者とドナーとの組織適合性抗原(HLA抗原)の完全一致が望ましく1)~3), ことに非血縁者からのドナー選択は著しいHLA抗原の多型性により, 多くのドナープールを有する骨髄バンクが必要である. また患者とドナーのHLA抗原タイピングは, ヒト由来のアロ抗血清を用いたLCT(lymphocyte cytotoxicity test)法4)で行われているが, 特異性の高いHLA抗血清の入手が困難な理由から確実なHLA抗原タイピングが難しく, 限られた施設のみで行...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 984 - 989
Main Authors 能勢, 義介, 稲葉, 洋行, 猪子, 英俊, 浜中, 泰光, 荒木, 延夫, 阪田, 宣彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1993
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.39.984

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Summary:骨髄移植は白血病, 再生不良性貧血等の難治性血液疾患の完治療法として, 近年日本においても確立されている. しかし, 骨髄移植を行うには患者とドナーとの組織適合性抗原(HLA抗原)の完全一致が望ましく1)~3), ことに非血縁者からのドナー選択は著しいHLA抗原の多型性により, 多くのドナープールを有する骨髄バンクが必要である. また患者とドナーのHLA抗原タイピングは, ヒト由来のアロ抗血清を用いたLCT(lymphocyte cytotoxicity test)法4)で行われているが, 特異性の高いHLA抗血清の入手が困難な理由から確実なHLA抗原タイピングが難しく, 限られた施設のみで行われている. さらに白血病患者血液は健常者と比較して, リンパ球分離が困難なことが多く, 特にLCT法によるHLAクラスII抗原のタイピングは検査不能例を認めることが多い.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.39.984