介護保険施設における食事に関する調査

目的: 介護保険施設において要介護者に対する口腔ケアや歯科治療などは盛んに進められてきているものの, 摂食・咀嚼・嚥下障害への対応および歯科が関与すべき食事介護に関して介入が遅れている.本研究では, 介護保険施設での食事介護のアンケートならびに実態調査を行うことを目的とした. 方法: 介護保険施設にて担当患者を有する医師を対象に食事介護に関するアンケート調査を行った.さらに, 介護保険施設の入院・入所者に, 年齢, 食事メニュー, 咬合支持の有無, 義歯の有無について, 食事への満足度および自宅療養中の食事との相違についてのアンケート調査を用い, 検討を行った 結果: 医師をはじめとして, 介...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 469 - 477
Main Authors 今井, 敦子, 川添, 禿彬, 康田, 省互, 松島, 恭彦, 田中, 昌博, 中西, 紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2005
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.49.469

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Summary:目的: 介護保険施設において要介護者に対する口腔ケアや歯科治療などは盛んに進められてきているものの, 摂食・咀嚼・嚥下障害への対応および歯科が関与すべき食事介護に関して介入が遅れている.本研究では, 介護保険施設での食事介護のアンケートならびに実態調査を行うことを目的とした. 方法: 介護保険施設にて担当患者を有する医師を対象に食事介護に関するアンケート調査を行った.さらに, 介護保険施設の入院・入所者に, 年齢, 食事メニュー, 咬合支持の有無, 義歯の有無について, 食事への満足度および自宅療養中の食事との相違についてのアンケート調査を用い, 検討を行った 結果: 医師をはじめとして, 介護にかかわる人たちに咀嚼の重要性の認識が不足していた、自宅でも施設でもごはんが食べることができれば, 食事に対する満足を得られる結果となった.ごはんを食べるためには, 残存歯の保存をはかり, 咬合支持を維持する.また欠損を補い, 適合の良い咬合支持をもつ義歯の装着が必要であることが明らかとなった. 結論: 咀嚼の重要性について, 介護者への情報公開を行っていくとともに, ごはんを食べられるか否かをエンドポイントした食事メニュー決定のための客観的な咀嚼能力の診査方法を確立することは, 食事介護支援システムに必要であることが示された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.49.469