インプラント支台クラウンの咬合接触の強さが歯冠および支持骨の応力分布に及ぼす影響
目的: 天然歯による咬合支持が存在する歯列に装着したインプラントを支台とするクラウンにおいて, 咬合接触の強さの変化が歯と支持骨に及ぼす力学的な影響を, 解析モデルにより明らかにすることを目的とした. 方法: 上下顎の第一大臼歯, もしくはどちらかをインプラントで置き換え, 周囲の骨を加えた二次元有限要素モデルを製作した. モデル各部は均質な弾性体とし, 歯根膜には非線形特性を付与した. 上顎骨上面を固定し, 下顎骨下部を上方に最大0.24mm移動させた. 咬合面には接触要素を付与し, 機能咬頭内斜面同士が最初に接触するよう設定した. 咬合面と骨に生じる最大相当応力をそれぞれ咬合面応力と骨応力...
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Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 582 - 591 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本補綴歯科学会
2007
日本補綴歯科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0389-5386 1883-177X |
DOI | 10.2186/jjps.51.582 |
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Summary: | 目的: 天然歯による咬合支持が存在する歯列に装着したインプラントを支台とするクラウンにおいて, 咬合接触の強さの変化が歯と支持骨に及ぼす力学的な影響を, 解析モデルにより明らかにすることを目的とした. 方法: 上下顎の第一大臼歯, もしくはどちらかをインプラントで置き換え, 周囲の骨を加えた二次元有限要素モデルを製作した. モデル各部は均質な弾性体とし, 歯根膜には非線形特性を付与した. 上顎骨上面を固定し, 下顎骨下部を上方に最大0.24mm移動させた. 咬合面には接触要素を付与し, 機能咬頭内斜面同士が最初に接触するよう設定した. 咬合面と骨に生じる最大相当応力をそれぞれ咬合面応力と骨応力として算出した. 結果: 最大咬合力による咬合接触を基準として咬頭嵌合位での咬合調整を行うと, 上顎がインプラントの場合は0.10mm, 下顎がインプラントの場合は0.11mmだけ高さを調整する必要性が認められた. これにより, 装着後最大咬合力下でも両応力は天然歯の場合と同等に抑えられる一方, それぞれ最大咬合力の13.0%と15.8%以下では対合歯と咬合接触しないことが予測された. 結論: 咬合調整時に大きな咬合力を発揮させ, これを基準としてインプラントを支台としたクラウンの咬合接触の強さが天然歯と同等となるよう咬合面の高さを設定すれば, 咬合面や支持骨に発生する応力集中が抑えられる. しかしこの場合, 軽度の咬合力下では同クラウンは咬合接触しない問題が示唆された. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.51.582 |