大腸病変をともなった結節性多発動脈炎の1例 -本邦報告例の検討

大腸病変をともなった結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa: 以下PN)の1手術例を報告し,大腸病変をともなった本疾患の本邦報告例を集計し,その特徴を検討した.症例は60歳,男性.大腸狭窄の精査にて当院に入院となった.大腸内視鏡検査にてS状結腸に高度の狭窄を認め,腹部CT検査では脾動脈瘤,腎動脈および肝内動脈瘤を認めた.さらに血管造影では下腸間膜動脈領域に多発する動脈瘤とS状結腸動脈の閉塞を認めた.PNにともなうS状結腸狭窄の診断のもと手術を施行した.S状結腸には狭窄を認め,同部位に小腸と虫垂の癒着を認めた.また肉眼的には明らかな結腸漿膜の虚血性変化を認めなかったが,レーザ...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 39 - 45
Main Authors 河野, 文彰, 関屋, 亮, 篠原, 立大, 鬼塚, 敏男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2008
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.61.39

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Summary:大腸病変をともなった結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa: 以下PN)の1手術例を報告し,大腸病変をともなった本疾患の本邦報告例を集計し,その特徴を検討した.症例は60歳,男性.大腸狭窄の精査にて当院に入院となった.大腸内視鏡検査にてS状結腸に高度の狭窄を認め,腹部CT検査では脾動脈瘤,腎動脈および肝内動脈瘤を認めた.さらに血管造影では下腸間膜動脈領域に多発する動脈瘤とS状結腸動脈の閉塞を認めた.PNにともなうS状結腸狭窄の診断のもと手術を施行した.S状結腸には狭窄を認め,同部位に小腸と虫垂の癒着を認めた.また肉眼的には明らかな結腸漿膜の虚血性変化を認めなかったが,レーザー血流計を用い血流を評価し左側結腸切除を行った.胃,十二指腸,小腸および右側結腸には明らかな病変を認めなかった.病理組織診断では粘膜下層を中心とした小型·中型の動脈壁の肥厚·内腔の狭細化をきたしておりPNと診断した.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.61.39