診断の手引きを満たさないものの, 心臓サルコイドーシスが強く疑われた2症例

心臓サルコイドーシスは, 心筋生検による診断率が低いためしばしばその診断に難渋する. 今回, 心臓サルコイドーシスの診断の手引きでは診断し得なかったが, 強く本症が疑われた2例を経験したので報告する. 2例とも血清アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 活性, リゾチーム値が高値で, 肺生検にてサルコイドーシスと診断された. 1例は心電図で右軸偏位がみられたものの, 他の1例は心電図上特に異常所見は認められず, 2例ともホルター心電図, 心臓超音波検査でも特に異常は認められなかった. 2例ともThallium-201-BMIPP心筋シンチグラフィーにて, 広範な斑状の集積低下が認められたため,...

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Published inサルコイドーシス/肉芽腫性疾患 Vol. 19; no. 1; pp. 91 - 96
Main Authors 森本, 紳一郎, 杉浦, 厚司, 菱田, 仁, 加藤, 茂, 久保, 奈津子, 木村, 勝智, 寺沢, 正恭, 加藤, 靖周, 平光, 伸也, 植村, 晃久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会 1999
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ISSN1345-0565
1884-6122
DOI10.14830/jssog1999.19.91

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Summary:心臓サルコイドーシスは, 心筋生検による診断率が低いためしばしばその診断に難渋する. 今回, 心臓サルコイドーシスの診断の手引きでは診断し得なかったが, 強く本症が疑われた2例を経験したので報告する. 2例とも血清アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 活性, リゾチーム値が高値で, 肺生検にてサルコイドーシスと診断された. 1例は心電図で右軸偏位がみられたものの, 他の1例は心電図上特に異常所見は認められず, 2例ともホルター心電図, 心臓超音波検査でも特に異常は認められなかった. 2例ともThallium-201-BMIPP心筋シンチグラフィーにて, 広範な斑状の集積低下が認められたため, 心筋生検を施行したが, 類上皮細胞肉芽腫は観察されなかった. 冠動脈造影では有意な狭窄は認められず, 心筋シンチグラフィーにおける著しい斑状の集積低下は, サルコイドーシスによる心病変であることが強く疑われた. 今回の2例のように現在の診断の手引きでは, 本症と診断できない症例が存在すると考えられ, この点が心臓サルコイドーシス診断における今後の問題であると考えられた.
ISSN:1345-0565
1884-6122
DOI:10.14830/jssog1999.19.91