胆道内膵液逆流に合併した平坦型早期胆嚢癌の1例

「症例」50歳代女性, 主訴は右上腹部不快感で, 10年ほど前から, 検診の腹部超音波(US)にて胆嚢壁肥厚を指摘されていた. 3ヵ月前から右上腹部不快感を自覚し, 紹介受診. 入院時現症, 末梢血検査, 一般生化学検査はCEA, CA19-9を含めて異常なし. 図1に腹部US及び超音波内視鏡(EUS)所見を示す. 胆嚢は腫大し, 壁はびまん性に内側低エコー層が乳頭状に肥厚しており, 体部の一部には小隆起がみられた. 図2に腹部MDCTを示す. 胆嚢壁はびまん性に造影効果がみられたが, 明らかな膵胆管合流異常(以下合流異常), 胆管拡張は認めなかった. 図3にERCPを示す. 明らかな合流異常...

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Published in胆道 Vol. 21; no. 4; pp. 599 - 602
Main Authors 飯星, 知博, 米原, 修治, 田妻, 進, 福田, 敏勝, 花田, 敬士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2007
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.21.4_599

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Summary:「症例」50歳代女性, 主訴は右上腹部不快感で, 10年ほど前から, 検診の腹部超音波(US)にて胆嚢壁肥厚を指摘されていた. 3ヵ月前から右上腹部不快感を自覚し, 紹介受診. 入院時現症, 末梢血検査, 一般生化学検査はCEA, CA19-9を含めて異常なし. 図1に腹部US及び超音波内視鏡(EUS)所見を示す. 胆嚢は腫大し, 壁はびまん性に内側低エコー層が乳頭状に肥厚しており, 体部の一部には小隆起がみられた. 図2に腹部MDCTを示す. 胆嚢壁はびまん性に造影効果がみられたが, 明らかな膵胆管合流異常(以下合流異常), 胆管拡張は認めなかった. 図3にERCPを示す. 明らかな合流異常はみられず. 長い共通管を有する, いわゆる"高位合流"の状態であり, 肝門部胆管で採取した胆汁中のアミラーゼは12800IU/lであった. 以上の結果から, 胆道内膵液逆流に伴う, 胆嚢粘膜過形成が疑われたが, 超音波所見にて, 体部壁肥厚の一部が小隆起様に認識され, 胆嚢癌の併発を否定しきれず, 胆嚢摘出術が施行された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.21.4_599