自家造血幹細胞移植8症例の臨床的検討
九州がんセンター造血器科でこの約5年間に施行した造血器悪性腫瘍に対する自家造血幹細胞移植(autologous hematopoietic stem cell transplantation; AHSCT)8例(非ホジキンリンパ腫(NHL)4例, ポジキン病(HD)1例, 急性骨髄性白血病(AML)2例, 急性リンパ性白血病(ALL)1例について, 移植後の造血回復および予後を検討した. 末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation; PBSCT)を5例に, 自家骨髄移植(autologous bone marrow transplan...
Saved in:
| Published in | 医療 Vol. 51; no. 5; pp. 235 - 239 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 国立医療学会
1997
国立医療学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
| DOI | 10.11261/iryo1946.51.235 |
Cover
| Summary: | 九州がんセンター造血器科でこの約5年間に施行した造血器悪性腫瘍に対する自家造血幹細胞移植(autologous hematopoietic stem cell transplantation; AHSCT)8例(非ホジキンリンパ腫(NHL)4例, ポジキン病(HD)1例, 急性骨髄性白血病(AML)2例, 急性リンパ性白血病(ALL)1例について, 移植後の造血回復および予後を検討した. 末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation; PBSCT)を5例に, 自家骨髄移植(autologous bone marrow transplantation; ABMT)を1例に, PBSCT併用ABMT(ABMT/PBSCT)を2例に実施した. 7例の末梢血幹細胞採取(peripheral blood stem cell harvest; PBSCH)の前処置としてAra-CとVP-16の大量療法を行い, そのうち6例にはG-CSFを併用し, 血球分離装置(AS 104)を用いて採取した. 超大量化学療法後の造血回復は, 白血球数(WBC), 好中球数(ANC), 血小板数(PLT)が1×109/l, 0.5×109/l, 50×109/lを越えるのに要した日数は, PBSCTとABMT(ABMT/PBSCT)においてそれぞれ8~16日(平均10.8日)と11~21日(15.3日), 9~13日(11.8日)と11~22日(15.7日), 9~29日(11.6日)と30日以上(>30日)であり, いずれもABMTよりPBSCTの方が, 回復が早い傾向にあった(血小板の回復のみ統計学的有意差あり). 血小板輸血回数はPBSCTの1~6回(平均2.8回)より, ABMT(ABMT/PBSCT)の5~10回(7.3回)が多い傾向を示した. 再発した3例(ALL1例と骨髄浸潤を伴うNHL2例)はいずれも第二寛解期以降の移植であったが, そのうちABMT(ABMT/PBSCT)の2症例は死亡, PBSCTの1例は部分寛解で生存中である. 以上より, 移植後の造血回復が早い点, 再発が少ない点, においてPBSCTの方がABMTより優れていることが示唆された. |
|---|---|
| ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
| DOI: | 10.11261/iryo1946.51.235 |