ステロイド剤が有効であったIgG4関連胆管炎と考えられる一例

ステロイド療法が有効であったIgG4関連胆管炎と思われる一例を報告した.症例は74歳の男性.2006年3月末より食欲不振,嘔気,上腹部鈍痛があり,近医を受診したところ黄疸を指摘され当院を紹介された.血液生化学検査では,総ビリルビン1.9mg/dl,AST194IU/l,γ-GTP1453IU/l,エラスターゼI630ng/dlと高値であったが,CA19-9は正常であった.腹部超音波検査では下部胆管閉塞,膵頭部腫瘤,尾側膵管拡張を認めた.さらに,胆管閉塞部上流の拡張胆管壁が不規則に肥厚していることが注目された.造影CT検査で膵頭部の腫瘤はよく造影され,その後の血液検査で抗核抗体(+),IgG22...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 21; no. 4; pp. 559 - 566
Main Authors 末永, 昌宏, 堀口, 祐爾, 久留, 宮隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.21.4_559

Cover

More Information
Summary:ステロイド療法が有効であったIgG4関連胆管炎と思われる一例を報告した.症例は74歳の男性.2006年3月末より食欲不振,嘔気,上腹部鈍痛があり,近医を受診したところ黄疸を指摘され当院を紹介された.血液生化学検査では,総ビリルビン1.9mg/dl,AST194IU/l,γ-GTP1453IU/l,エラスターゼI630ng/dlと高値であったが,CA19-9は正常であった.腹部超音波検査では下部胆管閉塞,膵頭部腫瘤,尾側膵管拡張を認めた.さらに,胆管閉塞部上流の拡張胆管壁が不規則に肥厚していることが注目された.造影CT検査で膵頭部の腫瘤はよく造影され,その後の血液検査で抗核抗体(+),IgG2277mg/dl,IgG41120mg/dlと高値であったので,自己免疫性膵炎と診断した.ステロイドホルモン療法を行ったところ,黄疸や肝機能障害は劇的に改善し,膵頭部腫瘤は経時的に縮小し,胆管壁の肥厚も徐々に軽減した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.21.4_559