Churg-Strauss syndromeの患者に認めた胆嚢偽腫瘍の1例

Churg-Strauss syndrome(以下CSS)にてステロイド療法中の患者に認められ, 短期問に大きく形態が変化した胆嚢偽腫瘍を経験したので報告する. 症例は60歳女性.3年前よりCSSの治療のため, ステロイドの内腺治療を受けていた.右季肋部痛にて発症. 来院時採血検査にて炎症所見を認め, 腹部エコーにて胆嚢内に複数の小結石を認めたため, 胆嚢炎の診断で入院となった. 入院後の精査にて, 胆嚢内に経時的に形態が変化する隆起性病変を認めた. 胆嚢癌を否定できないため開腹胆嚢摘出術を施行したところ, 胆嚢体部腹腔側に虚血壊死組織を主体とし, 黒色に変性した4cm×3cmの有茎性の隆起性...

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Published in胆道 Vol. 19; no. 2; pp. 160 - 165
Main Authors 小松, 俊一郎, 坂本, 英至, 田畑, 智丈, 青葉, 太郎, 板津, 慶太, 広松, 孝, 深見, 保之, 河合, 清貴, 長谷川, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2005
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.19.2_160

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Summary:Churg-Strauss syndrome(以下CSS)にてステロイド療法中の患者に認められ, 短期問に大きく形態が変化した胆嚢偽腫瘍を経験したので報告する. 症例は60歳女性.3年前よりCSSの治療のため, ステロイドの内腺治療を受けていた.右季肋部痛にて発症. 来院時採血検査にて炎症所見を認め, 腹部エコーにて胆嚢内に複数の小結石を認めたため, 胆嚢炎の診断で入院となった. 入院後の精査にて, 胆嚢内に経時的に形態が変化する隆起性病変を認めた. 胆嚢癌を否定できないため開腹胆嚢摘出術を施行したところ, 胆嚢体部腹腔側に虚血壊死組織を主体とし, 黒色に変性した4cm×3cmの有茎性の隆起性病変を認めた. 病変のほぼ全体が, 壊死組織で構成されていた, 一部残存した組織には, 異型性を認めなかった. 胆嚢壁の血管周闘に好酸球を混じた高度の炎症を認め, リンパ節には類上皮肉芽腫の形成を認めた. 以上より, 本症例における腫瘍性病変は, 胆嚢壁の血管炎が起因となり生じた胆嚢壁の虚血性変化と診断した. また, 本症例における腫瘍性病変の形成過程を, 画像所見と標本所見からレトロスペクティブに考察した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.19.2_160