再発性両側性外転神経麻痺を呈した成人発症の眼筋麻痺性片頭痛の56歳女性例

症例は56歳女性である.30歳から頭痛の3日以内に複視,左眼の内転位が出現し,頻度は月に1度で,症状は約3日で自然軽快していた.53歳時に左外転神経麻痺をともなう眼筋麻痺性片頭痛(OM)と診断されていた.2011年5月発熱,感冒症状の10日後に両側眼窩部痛,複視,右眼の外転制限が出現したため精査入院した.MRIにて右外転神経が描出されたが,腫大や造影効果はなかった.右外転神経と前下小脳動脈との接触をみとめた.他疾患の除外により,OMにともなう右外転神経麻痺と診断した.ステロイド投与後眼症状は緩徐に軽快を示した.本症例のようにことなる時期に左右の外転神経麻痺を呈したOMはまれであり,推定される機...

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 4; pp. 239 - 244
Main Authors 岩波, 久威, 渡邉, 由佳, 沼尾, 文香, 伊澤, 直樹, 中村, 利生, 平田, 幸一, 鈴木, 圭輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.239

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Summary:症例は56歳女性である.30歳から頭痛の3日以内に複視,左眼の内転位が出現し,頻度は月に1度で,症状は約3日で自然軽快していた.53歳時に左外転神経麻痺をともなう眼筋麻痺性片頭痛(OM)と診断されていた.2011年5月発熱,感冒症状の10日後に両側眼窩部痛,複視,右眼の外転制限が出現したため精査入院した.MRIにて右外転神経が描出されたが,腫大や造影効果はなかった.右外転神経と前下小脳動脈との接触をみとめた.他疾患の除外により,OMにともなう右外転神経麻痺と診断した.ステロイド投与後眼症状は緩徐に軽快を示した.本症例のようにことなる時期に左右の外転神経麻痺を呈したOMはまれであり,推定される機序の考察を加えて症例報告する.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.239