人工肛門造設後48年目に,頻回の下血のため手術を施行した大腸びまん性海綿状血管腫の1例

症例は67歳,男性.19歳のとき,多量の下血にて人工肛門を造設した.最近肛門からの下血が頻回となり下部消化管内視鏡検査を施行した.左半結腸~肛門にかけて全周性に粘膜下に拡張した静脈を思わせる色調変化と粘膜面の浮腫を認めた.また,腹部超音波検査および造影CT検査で肝外側区域に肝細胞癌を疑う腫瘤を認めた.そのため,腹会陰式直腸切断術および肝外側区域切除術を施行した.手術時,骨盤内に充満する黒赤色の大腸と血管腫様の腸間膜を認めた.結腸および直腸の剥離操作では大量出血をきたし止血に難渋した.病理検査では海綿状血管腫と診断され,肝臓については肝細胞癌と診断された.術後経過は良好で退院となった.大腸のびま...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 78 - 82
Main Authors 吉田, 公彦, 下山, 修, 岡田, 嶺, 伊藤, 正朗, 加瀬, 肇, 高橋, 知徳, 金本, 秀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2011
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.64.78

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Summary:症例は67歳,男性.19歳のとき,多量の下血にて人工肛門を造設した.最近肛門からの下血が頻回となり下部消化管内視鏡検査を施行した.左半結腸~肛門にかけて全周性に粘膜下に拡張した静脈を思わせる色調変化と粘膜面の浮腫を認めた.また,腹部超音波検査および造影CT検査で肝外側区域に肝細胞癌を疑う腫瘤を認めた.そのため,腹会陰式直腸切断術および肝外側区域切除術を施行した.手術時,骨盤内に充満する黒赤色の大腸と血管腫様の腸間膜を認めた.結腸および直腸の剥離操作では大量出血をきたし止血に難渋した.病理検査では海綿状血管腫と診断され,肝臓については肝細胞癌と診断された.術後経過は良好で退院となった.大腸のびまん性海綿状血管腫は比較的まれな疾患で,治療は外科的切除が必要である.今回,術中大量出血をきたした手術症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.64.78