膵管非癒合と膵・胆管合流異常を合併した先天性胆道拡張症の1例

症例は17歳, 女性. 学校検診で愈尿を指摘された. 腹部超音波検査および腹部CT検査を施行したところ,総胆管の著明な嚢腫状拡張を認めた.ERCP上,主乳頭からの造影では腹側膵管のみが造影され,副乳頭からの造影では背側膵管のみ造影されたことから,膵管非癒合と膵・胆管合流異常に併存した先天性胆道拡張症と診断し,分流手術を施行した.無症候性で背側膵炎の所見を認めなかったため,副乳頭形成術を付加しなかった.摘出標本の検索においても,胆道上皮の異形成変化を認めなかった.本症例のような膵管非癒合,膵・脂管合流異常の合併例は極めて少なく,本邦で検索しえた範囲では本症例を加え6例のみであり,術式決定において...

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Published in胆道 Vol. 16; no. 2; pp. 137 - 143
Main Authors 佐々木, 茂, 今井, 浩三, 鬼原, 史, 向谷, 充宏, 山本, 雅明, 平田, 公一, 木村, 康利, 荒谷, 純, 桂, 巻正, 西川, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2002
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.16.2_137

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Summary:症例は17歳, 女性. 学校検診で愈尿を指摘された. 腹部超音波検査および腹部CT検査を施行したところ,総胆管の著明な嚢腫状拡張を認めた.ERCP上,主乳頭からの造影では腹側膵管のみが造影され,副乳頭からの造影では背側膵管のみ造影されたことから,膵管非癒合と膵・胆管合流異常に併存した先天性胆道拡張症と診断し,分流手術を施行した.無症候性で背側膵炎の所見を認めなかったため,副乳頭形成術を付加しなかった.摘出標本の検索においても,胆道上皮の異形成変化を認めなかった.本症例のような膵管非癒合,膵・脂管合流異常の合併例は極めて少なく,本邦で検索しえた範囲では本症例を加え6例のみであり,術式決定においては議論の余地が残された.今後両奇形の合併も念頭におき,検討を加えていく必要性があると考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.16.2_137