直腸脱をともなった重症便秘症に対して腹腔鏡補助下結腸亜全摘および直腸固定術を施行した1例

直腸脱をともなう重症の便秘症に対し結腸亜全摘術および直腸固定術を施行した.症例は36歳,女性.現病歴は20歳頃より便秘に対して下剤を内服し始め,最近では1日に80~100錠服用し排便の度に直腸脱を認めていた.注腸検査では大腸全体にびまん性の拡張を認めた.バリウムを用いたtransit time studyでは2日目に右半結腸までしか進まず,5日目で直腸にバリウムが停滞した.直腸肛門内圧検査では肛門管随意収縮圧は低下し,直腸肛門反射は認めなかった.Defecographyでは不完全排出を認めた.以上の所見よりslow transit constipationをともなう重症便秘症および直腸脱と診断...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 17 - 23
Main Authors 大塚, 眞哉, 今井, 良典, 梶原, 伸介, 岩垣, 博巳, 西江, 学, 濱野, 亮輔, 宮宗, 秀明, 清地, 秀典, 岩川, 和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2011
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.64.17

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Summary:直腸脱をともなう重症の便秘症に対し結腸亜全摘術および直腸固定術を施行した.症例は36歳,女性.現病歴は20歳頃より便秘に対して下剤を内服し始め,最近では1日に80~100錠服用し排便の度に直腸脱を認めていた.注腸検査では大腸全体にびまん性の拡張を認めた.バリウムを用いたtransit time studyでは2日目に右半結腸までしか進まず,5日目で直腸にバリウムが停滞した.直腸肛門内圧検査では肛門管随意収縮圧は低下し,直腸肛門反射は認めなかった.Defecographyでは不完全排出を認めた.以上の所見よりslow transit constipationをともなう重症便秘症および直腸脱と診断し,腹腔鏡補助下結腸亜全摘および直腸固定術を施行した.病理検査では神経の異常を認めなかった.術後下剤は服用せず,1日1~2回の軟便となった.直腸脱をともなう重症便秘症に対して本術式は一つのオプションになり得ると思われる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.64.17