副交通胆管枝の2例

胆道系の分岐には様々な形態異常が知られており,副交通胆管枝もその1形態である.今回は布側肝管と胆嚢管を交通する副交通胆管枝の2例を経験したので報告する,症例1は68歳, 女性. 症例2は63歳, 男性. 両症例とも閉塞性黄疸にて紹介入院となった. PTBDの精査造影の際に,右肝管と胆嚢管を交通する副交通胆管枝の存在が判明した.症例1は進行胆管癌,症例2は膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術が施行された.両症例とも,副交通胆管枝は肝に単独の支配領域を有さず,右肝管に胆汁流出の障害となるような狭窄などが認められないことから,副交通胆管枝の処理は結紮切離のみで対応した.今回の副交通胆管枝は直接造影で発...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 21; no. 5; pp. 659 - 664
Main Authors 酒井, 久宗, 木下, 壽文, 御鍵, 和弘, 酒井, 丈典, 赤須, 玄, 大塚, 隆彦, 堀内, 彦之, 丸山, 祐一郎, 古川, 哲, 川原, 隆一, 内田, 信治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.21.5_659

Cover

More Information
Summary:胆道系の分岐には様々な形態異常が知られており,副交通胆管枝もその1形態である.今回は布側肝管と胆嚢管を交通する副交通胆管枝の2例を経験したので報告する,症例1は68歳, 女性. 症例2は63歳, 男性. 両症例とも閉塞性黄疸にて紹介入院となった. PTBDの精査造影の際に,右肝管と胆嚢管を交通する副交通胆管枝の存在が判明した.症例1は進行胆管癌,症例2は膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術が施行された.両症例とも,副交通胆管枝は肝に単独の支配領域を有さず,右肝管に胆汁流出の障害となるような狭窄などが認められないことから,副交通胆管枝の処理は結紮切離のみで対応した.今回の副交通胆管枝は直接造影で発見されたが, MRCPやDIC-CTによる発見の報告も増加しており, 今後同検査の普及, 発展により,直接胆道造影を用いずとも胆道走行異常の詳細な検討が非侵襲的に行えるようになる可能性があると考えられる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.21.5_659