切端咬合を呈する骨格性下顎前突症例における食物摂取時の開口運動と頭部運動との関係
目的: 正常咬合者のみならず不正咬合者にも, 開閉口運動に協調した頭部運動が認められている. ところで骨格性下顎前突症例では, 開口運動の様相が正常咬合者と異なることから, 頭部運動にどのような影響を与えているものか, 興味がもたれる. そこで, 正常咬合者および骨格性下顎前突症例における食物摂取時の開口運動と頭部運動を観察し, さらに, 頭部運動の存在意義についても明らかにすることを目的とした. 方法: 被験者は顎口腔機能に異常を認めない骨格性下顎前突症患者6名 (III級群) と, 健常な個性正常咬合者10名とした. 6自由度顎運動測定装置を用い, 食物摂取時の開口量, 頭部運動量, 下顎...
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          | Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 51; no. 2; pp. 250 - 259 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            社団法人 日本補綴歯科学会
    
        2007
     日本補綴歯科学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0389-5386 1883-177X  | 
| DOI | 10.2186/jjps.51.250 | 
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| Summary: | 目的: 正常咬合者のみならず不正咬合者にも, 開閉口運動に協調した頭部運動が認められている. ところで骨格性下顎前突症例では, 開口運動の様相が正常咬合者と異なることから, 頭部運動にどのような影響を与えているものか, 興味がもたれる. そこで, 正常咬合者および骨格性下顎前突症例における食物摂取時の開口運動と頭部運動を観察し, さらに, 頭部運動の存在意義についても明らかにすることを目的とした. 方法: 被験者は顎口腔機能に異常を認めない骨格性下顎前突症患者6名 (III級群) と, 健常な個性正常咬合者10名とした. 6自由度顎運動測定装置を用い, 食物摂取時の開口量, 頭部運動量, 下顎頭移動量, 下顎の回転角について分析を行った. 結果: III級群は, 開口時の下顎頭移動量が正常咬合者群と同様な値を示す被験者 (III級A群) と, それよりも小さな値を示す被験者 (III級B群) とが存在した. この時の頭部運動量は, 前者では, 正常咬合者群とほぼ同様の値を示し, 後者ではそれよりも大きな値を示した. また側方頭部エックス線規格写真より算出される下顎後部スペースは, III級B群では, 正常咬合者群, III級A群より大きな値を示した. 結論: 下顎頭移動量の小さな症例では, 下顎後部のスペースを使い, 大開口を行っていることが明らかとなった. すなわち, 下顎後部のスペースの大小により, 下顎頭移動量の大きさが決まってくることが示唆された. | 
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| ISSN: | 0389-5386 1883-177X  | 
| DOI: | 10.2186/jjps.51.250 |