肛門からの脱出で発症したS状結腸脂肪腫に対して単孔式腹腔鏡下S状結腸部分切除術を施行した1例
症例は64歳の男性.肛門から脱出する腫瘤と下血を主訴に前医を受診した.出血を伴う約6cm大の弾性軟の腫瘤の脱出を認め,用手的に腫瘤を還納された後に当院を紹介受診した.入院後の精査の結果,腫瘤はS状結腸脂肪腫と診断され,これが先進部となって腸重積をきたし,腫瘤が肛門から脱出したと考えられた.経過からこれまでも腸重積を繰り返してきたと考えられ,今後も繰り返す可能性が高いため切除の適応であると考えられた.腫瘍径が大きいため内視鏡的切除の適応はなく,外科的切除の適応であると判断した.腸重積は解除され,腸管の減圧ができた状態で手術の施行が可能であったので,より低侵襲な単孔式腹腔鏡下S状結腸部分切除術を施...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 340 - 346 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.66.340 |
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Summary: | 症例は64歳の男性.肛門から脱出する腫瘤と下血を主訴に前医を受診した.出血を伴う約6cm大の弾性軟の腫瘤の脱出を認め,用手的に腫瘤を還納された後に当院を紹介受診した.入院後の精査の結果,腫瘤はS状結腸脂肪腫と診断され,これが先進部となって腸重積をきたし,腫瘤が肛門から脱出したと考えられた.経過からこれまでも腸重積を繰り返してきたと考えられ,今後も繰り返す可能性が高いため切除の適応であると考えられた.腫瘍径が大きいため内視鏡的切除の適応はなく,外科的切除の適応であると判断した.腸重積は解除され,腸管の減圧ができた状態で手術の施行が可能であったので,より低侵襲な単孔式腹腔鏡下S状結腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では粘膜下層に成熟脂肪細胞の密な増生を認め,脂肪腫と診断された. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.66.340 |