大腸癌術後の吻合部を中心に発生した腸管嚢腫性気腫症の1例

症例は62歳の男性で,上行結腸癌に対して2010年12月に右半結腸切除術を施行した.術後イレウスに対して小腸ストーマを造設し,2011年11月にストーマ閉鎖術を施行した.ストーマ閉鎖術後に再度イレウスを発症し,減圧処置およびステロイド治療を開始した.その後,イレウスは改善したが,腹部単純X線写真で右側腹部および骨盤内に気腫性変化を認めた.腹部造影CTでは,右半結腸切除の吻合部および60歳時に直腸癌に対して施行した直腸前方切除術の吻合部を中心に腸管壁に沿う壁内ガスを認め,腹腔内遊離ガスも認めた.2度の大腸癌術後の吻合部を中心に発生した腸管嚢腫性気腫症と診断したが,腹膜刺激症状などの腹部所見は認め...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 6; pp. 390 - 395
Main Authors 真貝, 竜史, 大植, 雅之, 今田, 慎也, 末田, 聖倫, 能浦, 真吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2014
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.67.390

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Summary:症例は62歳の男性で,上行結腸癌に対して2010年12月に右半結腸切除術を施行した.術後イレウスに対して小腸ストーマを造設し,2011年11月にストーマ閉鎖術を施行した.ストーマ閉鎖術後に再度イレウスを発症し,減圧処置およびステロイド治療を開始した.その後,イレウスは改善したが,腹部単純X線写真で右側腹部および骨盤内に気腫性変化を認めた.腹部造影CTでは,右半結腸切除の吻合部および60歳時に直腸癌に対して施行した直腸前方切除術の吻合部を中心に腸管壁に沿う壁内ガスを認め,腹腔内遊離ガスも認めた.2度の大腸癌術後の吻合部を中心に発生した腸管嚢腫性気腫症と診断したが,腹膜刺激症状などの腹部所見は認めなかったため,ステロイドを中止し経過観察とした.その後も腹部所見の増悪は認めず,フォローの画像でも腸管気腫は消失した.腸管嚢腫性気腫症の成因として術後の吻合部が成因となった報告は非常にまれである.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.67.390