Bartter症候群を合併した直腸癌の1手術例

今回我々は直腸癌を合併したBartter症候群の比較的まれな1例の外科治療を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は26歳, 女性. 貧血と低カリウム血症の精査のため入院し, 大腸の注腸X線撮影で直腸S状部にApple-core signを認め大腸内視鏡下生検で腺癌と診断された. 入院後の検査にて血漿レニン活性の増加や血漿アルドステロン濃度の上昇にもかかわらず正常血圧を示し, 低カリウム血性代謝性アルカローシスであったことからBartter症候群が疑われた. 直腸癌に対する治療を優先し, 血清カリウム値が正常範囲となるまでカンレノ酸カリウムの静注とカリウムの点滴静注を行った後, 硬...

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Published in医療 Vol. 52; no. 1; pp. 49 - 52
Main Authors 田中, 茂夫, 石川, 秀雅, 古川, 良弥, 桧山, 和弘, 藤井, 正大, 村上, 睦美, 仁保, 幸次, 若林, 武雄, 平山, 恒憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1998
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.52.49

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Summary:今回我々は直腸癌を合併したBartter症候群の比較的まれな1例の外科治療を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は26歳, 女性. 貧血と低カリウム血症の精査のため入院し, 大腸の注腸X線撮影で直腸S状部にApple-core signを認め大腸内視鏡下生検で腺癌と診断された. 入院後の検査にて血漿レニン活性の増加や血漿アルドステロン濃度の上昇にもかかわらず正常血圧を示し, 低カリウム血性代謝性アルカローシスであったことからBartter症候群が疑われた. 直腸癌に対する治療を優先し, 血清カリウム値が正常範囲となるまでカンレノ酸カリウムの静注とカリウムの点滴静注を行った後, 硬膜外麻酔(2%メプバカイン)を併用した全身麻酔下に直腸前方切除術を施行した(50%笑気―酸素および0.2~1.0%エンフルラン). 術後生検した腎の病理組織学所見では, 著しい傍糸球体装置の過形成を認め, アンジオテンシンIIへの低反応と合わせてBartter症候群と診断した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.52.49