慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー様の経過で発症し筋萎縮性側索硬化症の合併が確認されたCharcot-Marie-Tooth病1Aの1剖検例

症例は70歳男性である.右上肢の脱力および感覚障害にて発症した.病初期はCIDPと診断され,一時的に免疫グロブリン大量静注療法,ステロイドなどの免疫療法の効果がみられたが,しだいに治療抵抗性の経過を辿り進行した.後に,PMP22遺伝子重複が判明し,CMT1Aと診断された.腓腹神経生検では onion bulb形成に加え炎症細胞の浸潤をともなう脱髄がみとめられた.その後も,筋力低下は四肢・体幹に急速に拡大し,球麻痺,呼吸筋麻痺も出現し,発症から約4年の経過で死亡した.病理解剖にてALSと組織診断した.本症例はCMT1AにALSを合併したはじめての症例報告である....

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 10; pp. 750 - 756
Main Authors 樋口, 雄二郎, 諏訪園, 秀吾, 崎山, 佑介, 末原, 雅人, 遠藤, 一博, 西平, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.750

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Summary:症例は70歳男性である.右上肢の脱力および感覚障害にて発症した.病初期はCIDPと診断され,一時的に免疫グロブリン大量静注療法,ステロイドなどの免疫療法の効果がみられたが,しだいに治療抵抗性の経過を辿り進行した.後に,PMP22遺伝子重複が判明し,CMT1Aと診断された.腓腹神経生検では onion bulb形成に加え炎症細胞の浸潤をともなう脱髄がみとめられた.その後も,筋力低下は四肢・体幹に急速に拡大し,球麻痺,呼吸筋麻痺も出現し,発症から約4年の経過で死亡した.病理解剖にてALSと組織診断した.本症例はCMT1AにALSを合併したはじめての症例報告である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.750