中高年の脳血管障害患者のQOLに関わる要因の分析
研究目的は在宅療養の脳血管障害患者のQOLに関わる要因について, 患者の能力障害, 環境要因としてのソーシャルサポートとの関連を中心に分析し, 在宅ケアにおける看護支援の方向性を検討することである.T県の総合病院を退院後1年以上在宅療養している40歳~65歳の患者60名を対象に, 患者の自宅にて面接調査した.調査内容は脳血管障害QOL評価票, Barthel Index によるADL評価, 老研式活動能力評価票, ソーシャルサポートの評価, さらに主観的QOL評価として「自己の存在感」に関する質問項目などである.QOL評価得点を従属変数として2変量の相関分析を行った.結果は以下のとおりである....
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 4; pp. 359 - 365 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
2000
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-2826 1881-1191 |
DOI | 10.2974/kmj.50.359 |
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Summary: | 研究目的は在宅療養の脳血管障害患者のQOLに関わる要因について, 患者の能力障害, 環境要因としてのソーシャルサポートとの関連を中心に分析し, 在宅ケアにおける看護支援の方向性を検討することである.T県の総合病院を退院後1年以上在宅療養している40歳~65歳の患者60名を対象に, 患者の自宅にて面接調査した.調査内容は脳血管障害QOL評価票, Barthel Index によるADL評価, 老研式活動能力評価票, ソーシャルサポートの評価, さらに主観的QOL評価として「自己の存在感」に関する質問項目などである.QOL評価得点を従属変数として2変量の相関分析を行った.結果は以下のとおりである. 1. 患者のQOLとの関連でADL評価得点よりも社会活動を包含した高次の活動能力評価得点との相関が強かった. 2. 仕事・家事への就業の有無による比較では就業ありの方がよりも有意にQOL評価得点が高かった. 3. 主観的QOLの評価として「自己の存在感」の知覚レベルとQOLとの関連をみた結果, 1%水準で有意な相関を認めた. 4. ソーシャルサポートとの関連で, 情緒的サポートは手段的サポートよりもQOL評価得点との相関が強かった. 患者のQOLを向上させる看護ケアとして, 障害受容が進んだ段階の患者に対しては, 自己の存在価値や新たな生きがいの発見など患者の価値観の変換を促すアプローチが重要である.また, 看護の専門的の立場からのサポートとして患者の悩みや心配の相談に応じたり, 家族をはじめとする周囲の環境を整えることを通して患者に情緒的サポートを提供する必要がある. |
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ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
DOI: | 10.2974/kmj.50.359 |