腎癌の胆嚢転移の1症例

症例は67歳, 男性. 近医で右耳下腺腫瘤摘出術を施行され, 病理検査で明細胞癌と診断された. 同時に, 左腎, 肺, 骨, 胆嚢に腫瘤を指摘され, 当院に紹介となった. 腹部造影CTでは左腎に造影効果を示す径10cmの腫瘍を認め,胆嚢内にも強い造影効果を示す乳頭状腫瘤を認めた. 腹部エコー検査では胆嚢に表面高エコー帯を伴う径4.5cmの充実性腫瘍を認め, 腹部血管造影では胆嚢底部に強い腫瘍濃染像を認めた. 以上より, 左腎細胞癌の胆嚢転移と診断した. 左腎動脈塞栓術により左腎腫瘍は縮小したが, 胆嚢腫瘍は増大傾向を認めた. 胆嚢炎の発症が危惧されたので, 左腎癌摘出術に際して胆嚢摘出術を併施...

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Published in胆道 Vol. 18; no. 4; pp. 520 - 524
Main Authors 徳山, 泰治, 葛原, 正樹, 山雄, 健次, 清水, 泰博, 大久保, 賢治, 安井, 健三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2004
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.18.4_520

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Summary:症例は67歳, 男性. 近医で右耳下腺腫瘤摘出術を施行され, 病理検査で明細胞癌と診断された. 同時に, 左腎, 肺, 骨, 胆嚢に腫瘤を指摘され, 当院に紹介となった. 腹部造影CTでは左腎に造影効果を示す径10cmの腫瘍を認め,胆嚢内にも強い造影効果を示す乳頭状腫瘤を認めた. 腹部エコー検査では胆嚢に表面高エコー帯を伴う径4.5cmの充実性腫瘍を認め, 腹部血管造影では胆嚢底部に強い腫瘍濃染像を認めた. 以上より, 左腎細胞癌の胆嚢転移と診断した. 左腎動脈塞栓術により左腎腫瘍は縮小したが, 胆嚢腫瘍は増大傾向を認めた. 胆嚢炎の発症が危惧されたので, 左腎癌摘出術に際して胆嚢摘出術を併施した. 胆嚢腫瘍割面では腫瘍の表面は薄い胆嚢粘膜で覆われており, 粘膜下腫瘍の形態を呈していた. 病理組織学的には腫瘍は胞体の明るい淡明細胞で占められ, 左腎の原発巣に類似しており, 腎細胞癌の胆嚢転移と診断した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.18.4_520