右房前中隔アブレーション法を用いたイヌ房室結節エコー波に関する研究

本研究の目的は, イヌ心臓に誘発される房室結節エコー (AV Nodal echo=AVNe) に関する電気生理学的所見およびAVNeに対する右房前中隔fast pathwayアブレーション効果より, イヌAVNeの旋回回路の電気生理学的および解剖学的多様性の有無, ヒトAVNRTとの関連性について検討を加えることである.【方法】麻酔開胸犬16頭において, 針電極を右心耳, 冠状静脈洞開口部付近 (CSos) , 右心室基部に刺入した.また大腿静脈より挿入した電極カテーテルをヒス東電位記録部位 (HBE) に留置した.洞房結節挫滅後, 心室プログラム刺激を実施し, AVNeの誘発の有無を検討し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心電図 Vol. 19; no. 6; pp. 661 - 669
Main Authors 山本, 直人, 平尾, 見三, 比江嶋, 一昌, 土信田, 伸夫, 鈴木, 文男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1999
日本心電学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.19.661

Cover

More Information
Summary:本研究の目的は, イヌ心臓に誘発される房室結節エコー (AV Nodal echo=AVNe) に関する電気生理学的所見およびAVNeに対する右房前中隔fast pathwayアブレーション効果より, イヌAVNeの旋回回路の電気生理学的および解剖学的多様性の有無, ヒトAVNRTとの関連性について検討を加えることである.【方法】麻酔開胸犬16頭において, 針電極を右心耳, 冠状静脈洞開口部付近 (CSos) , 右心室基部に刺入した.また大腿静脈より挿入した電極カテーテルをヒス東電位記録部位 (HBE) に留置した.洞房結節挫滅後, 心室プログラム刺激を実施し, AVNeの誘発の有無を検討した.この際AVNe出現時の心房exit部位よりAVNeの分類をした.続いて前方exit (=fast AVnodal pathway) のアブレーションのため, 右房前中隔部の心外膜側で, 大きな心房電位と小さく鋭いヒス東電位が記録される部位に電極力テーテルを留置し, 高周波通電を行った.再度心室刺激を実施し, アブレーションのAVNeに対する効果について検討を加えた.【結果】室房伝導は全16頭に存在した, 高周波通電により∬~皿度房室ブロックが誘発された3頭を除く13頭において, PR間隔は有意に延長し (115±13msec: 115±16msec, p<0.01) , fast pathwayアブレーションに成功した.この13頭についてAVNeに対するアブレーション効果を検討した.アブレーション前13頭中12頭において誘発されたAVNeは, エコー出現時の最早期心房興奮部位より前方型 (6頭) , 後方型 (6頭) に分類された.ヒス東電位記録部位が心房exitの前方型AVNeは全6頭において, アブレーション後誘発不能に, 冠状静脈洞開口部が心房exitの後方型AVNeは6頭中3頭においてアブレーション後エコー波は誘発不能となり, 3頭ではエコー波は残存した, 【結論】イヌ心臓に誘発されるAVNeは心房exit部位より電気生理学的に前方型, 後方型の2型に分けられ, 前方型AVNeではそのリエントリー回路はfast pathway (右房前中隔領域) を含むが, 後方型AVNeの一部ではその領域を回路に含まない例も存在することが示唆され, AVNeの型によりその解剖学的回路が異なる可能性が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.19.661