下部直腸癌に対する自律神経温存側方リンパ節郭清術後の排尿・性機能障害の検討

下部直腸癌に対して自律神経温存側方リンパ郭清を施行した症例の術後排尿・性機能障害について検討を行った.1990年から2010年までに当科で施行した下部直腸癌手術症例で,排尿・性機能アンケート調査が可能であった男性72例を対象とし,側方リンパ節郭清群と非郭清群とを比較した.排尿機能は郭清群において術後3,6,12ヵ月に機能障害を認めたが非郭清群ではなかった.性機能は術後3,6,12ヵ月で郭清群に有意に多く機能障害を認めた.片側郭清群と両側郭清群で比較したところ,術後3,6,12ヵ月いずれも排尿・性機能障害に有意な差は認めなかった.また,StageII,IIIの全生存期間・無再発生存期間は側方郭清...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 6; pp. 373 - 380
Main Authors 四方田, 隆任, 長主, 祥子, 藤田, 文彦, 中根, 浩幸, 赤木, 由人, 仕垣, 隆浩, 緒方, 傑, 溝部, 智亮, 小原, 仁, 吉田, 直裕, 衣笠, 哲史, 角間, 辰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2019
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.72.373

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Summary:下部直腸癌に対して自律神経温存側方リンパ郭清を施行した症例の術後排尿・性機能障害について検討を行った.1990年から2010年までに当科で施行した下部直腸癌手術症例で,排尿・性機能アンケート調査が可能であった男性72例を対象とし,側方リンパ節郭清群と非郭清群とを比較した.排尿機能は郭清群において術後3,6,12ヵ月に機能障害を認めたが非郭清群ではなかった.性機能は術後3,6,12ヵ月で郭清群に有意に多く機能障害を認めた.片側郭清群と両側郭清群で比較したところ,術後3,6,12ヵ月いずれも排尿・性機能障害に有意な差は認めなかった.また,StageII,IIIの全生存期間・無再発生存期間は側方郭清群と非郭清群の間に有意差はみられなかった.今回の検討では下部直腸癌手術症例に対する側方郭清は自律神経を温存したとしても排尿・性機能低下に影響する可能性を示唆しており,さらなる慎重な術中操作が望まれる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.72.373