結腸亜全摘後にbackwash ileitisで回腸切除を要した潰瘍性大腸炎の1例

症例は67歳男性.半年前からの血便を主訴に近医受診,近医にて施行した内視鏡検査にて全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され入院となった.5-ASA製剤とステロイドにて初期治療を開始し,血球成分除去療法も行ったが反応乏しく腹腔鏡補助下大腸亜全摘・回腸人工肛門造設術を施行した.全結腸に渡り好中球の粘膜浸潤を伴う潰瘍性病変を認め,炎症は回腸末端にまで及んでいた.術後,人工肛門からの出血が持続したため内視鏡検査を施行したところ,回腸多発潰瘍と粘膜出血を認め止血が困難であったため人工肛門再造設術を施行した.潰瘍性大腸炎の病変は一般的に大腸に限局するが,炎症が回盲弁を超えて波及するbackwash ileitis...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 108 - 114
Main Authors 及川, 芳徳, 梅谷, 直亨, 田村, 徳康, 村田, 祐二郎, 北川, 祐資
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.108

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Summary:症例は67歳男性.半年前からの血便を主訴に近医受診,近医にて施行した内視鏡検査にて全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され入院となった.5-ASA製剤とステロイドにて初期治療を開始し,血球成分除去療法も行ったが反応乏しく腹腔鏡補助下大腸亜全摘・回腸人工肛門造設術を施行した.全結腸に渡り好中球の粘膜浸潤を伴う潰瘍性病変を認め,炎症は回腸末端にまで及んでいた.術後,人工肛門からの出血が持続したため内視鏡検査を施行したところ,回腸多発潰瘍と粘膜出血を認め止血が困難であったため人工肛門再造設術を施行した.潰瘍性大腸炎の病変は一般的に大腸に限局するが,炎症が回盲弁を超えて波及するbackwash ileitisを認めることがある.手術前に内視鏡的に回盲部まで観察しその診断をすることは困難である.今回,backwash ileitisにより術後も出血が持続し治療に難渋した1例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.108