腹腔鏡下S状結腸切除術後,腸間膜欠損部への内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞の1例
症例は43歳女性.S状結腸癌,転移性肝腫瘍,左卵巣腫瘍に対し腹腔鏡下S状結腸切除・肝部分切除・左付属器切除術が施行された.術後4ヵ月目に発症した絞扼性腸閉塞に対して緊急手術が施行された.原因はS状結腸の腸間膜欠損部と初回手術時に温存された上直腸動脈間が門となる内ヘルニアであった.小腸部分切除,腸間膜欠損部の縫合閉鎖を行った.腹腔鏡下大腸切除手術後,腸間膜欠損部が原因の内ヘルニアの発生率は少なく,腸間膜欠損部は閉鎖しないことが一般的である.本症例は,S状結腸が過長で,腸間膜と後腹膜の癒合が少ないという特徴があった.このような症例では術後の癒着による腸間膜欠損部の閉鎖がされず,内ヘルニアのリスクが...
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| Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 165 - 170 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本大腸肛門病学会
2019
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| Subjects | |
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| ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI | 10.3862/jcoloproctology.72.165 |
Cover
| Summary: | 症例は43歳女性.S状結腸癌,転移性肝腫瘍,左卵巣腫瘍に対し腹腔鏡下S状結腸切除・肝部分切除・左付属器切除術が施行された.術後4ヵ月目に発症した絞扼性腸閉塞に対して緊急手術が施行された.原因はS状結腸の腸間膜欠損部と初回手術時に温存された上直腸動脈間が門となる内ヘルニアであった.小腸部分切除,腸間膜欠損部の縫合閉鎖を行った.腹腔鏡下大腸切除手術後,腸間膜欠損部が原因の内ヘルニアの発生率は少なく,腸間膜欠損部は閉鎖しないことが一般的である.本症例は,S状結腸が過長で,腸間膜と後腹膜の癒合が少ないという特徴があった.このような症例では術後の癒着による腸間膜欠損部の閉鎖がされず,内ヘルニアのリスクが高いと考えられ,閉鎖すべきと考えられた. |
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| ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI: | 10.3862/jcoloproctology.72.165 |