左結腸動脈の動静脈瘻による非壊死型虚血性大腸炎に対して経皮的動脈塞栓術が奏功した1例~症例報告と本邦報告例の文献的考察
原因として非常に稀な左結腸動静脈の動静脈瘻(arteriovenous fistula:AVF)による非壊死型虚血性大腸炎に対し,血管内治療(interventional radiology:IVR)が奏功した1例を経験した.症例は80歳男性.9年前に前立腺癌の放射線治療後の難治性放射線性直腸炎に対し,横行結腸に双孔式人工肛門が造設されていた.今回貧血を伴う下血を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査で下行結腸に易出血性の粘膜浮腫を認め,虚血性大腸炎と診断した.腹部造影CT検査では左結腸動脈にAVFを認め,虚血性腸炎の原因と考えた.高齢と併存疾患を考慮し,IVRで左結腸動脈から造影されたシャント血...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 5; pp. 234 - 239 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.72.234 |
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Summary: | 原因として非常に稀な左結腸動静脈の動静脈瘻(arteriovenous fistula:AVF)による非壊死型虚血性大腸炎に対し,血管内治療(interventional radiology:IVR)が奏功した1例を経験した.症例は80歳男性.9年前に前立腺癌の放射線治療後の難治性放射線性直腸炎に対し,横行結腸に双孔式人工肛門が造設されていた.今回貧血を伴う下血を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査で下行結腸に易出血性の粘膜浮腫を認め,虚血性大腸炎と診断した.腹部造影CT検査では左結腸動脈にAVFを認め,虚血性腸炎の原因と考えた.高齢と併存疾患を考慮し,IVRで左結腸動脈から造影されたシャント血管に塞栓術を施行したところ,症状は改善し,再発なく経過している.AVFが原因の非壊死型虚血性大腸炎に対してのIVRは,多くの併存疾患を有する手術リスクの高い高齢者患者に対し低侵襲で有効な治療であった. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.72.234 |