卵管留膿腫を認めたS状結腸憩室炎の1例

症例は80歳,女性.1ヵ月前から左側腹部痛があり,S状結腸憩室炎の診断で,前医にて抗生剤治療が行われた.炎症の改善を認めず,当院へ紹介となった.腹部CT検査で,S状結腸憩室炎と,左卵管内の気腫と膿瘍形成を認めた.瘻孔を伴う難治性の結腸憩室炎と診断し,緊急入院とした.広域の抗生剤点滴を行うも,炎症の改善を認めず,開腹手術の方針とした.手術はS状結腸切除・子宮全摘・両側付属器切除術を施行した.病理組織学的所見では,S状結腸に化膿性憩室炎と,左卵管内に膿瘍を認め,子宮内腔に炎症所見は認めなかった.以上の所見より,結腸憩室炎が結腸卵管瘻を形成し,卵管留膿腫を生じたと考えられた.結腸憩室炎による結腸卵管...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 202 - 205
Main Authors 野中, 有紀子, 神谷, 忠宏, 柴田, 佳久, 小林, 龍太朗, 小池, 佳勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.202

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Summary:症例は80歳,女性.1ヵ月前から左側腹部痛があり,S状結腸憩室炎の診断で,前医にて抗生剤治療が行われた.炎症の改善を認めず,当院へ紹介となった.腹部CT検査で,S状結腸憩室炎と,左卵管内の気腫と膿瘍形成を認めた.瘻孔を伴う難治性の結腸憩室炎と診断し,緊急入院とした.広域の抗生剤点滴を行うも,炎症の改善を認めず,開腹手術の方針とした.手術はS状結腸切除・子宮全摘・両側付属器切除術を施行した.病理組織学的所見では,S状結腸に化膿性憩室炎と,左卵管内に膿瘍を認め,子宮内腔に炎症所見は認めなかった.以上の所見より,結腸憩室炎が結腸卵管瘻を形成し,卵管留膿腫を生じたと考えられた.結腸憩室炎による結腸卵管瘻・卵管留膿腫の本邦報告例は自験例を含め5例と稀であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.202