腸回転異常を伴う横行結腸癌に対して腹腔鏡下左結腸切除術を施行した1例
症例は54歳,女性.貧血を主訴に近医受診.大腸内視鏡検査で肛門縁より約50cmの横行結腸に2型病変認め生検で高分化腺癌と診断され当院へ紹介された.腹部CT検査にてトライツ靭帯の形成不全があり,上行結腸が正中を走行,3D血管構築にて上腸間膜動脈(SMA)が上腸間膜静脈(SMV)の右側に存在する腸回転異常を認めた.腫瘍は横行結腸脾弯曲寄りに認め,T3 N2 M0 cStageIIIbで腹腔鏡下結腸左半切除術を施行した.上行結腸は正中を走行し,肝弯曲は形成されておらず,右上腹部に小腸を確認できた.また脾弯曲部は固定されていなかった.支配血管は中結腸動脈および左結腸動脈で,それぞれ慎重に根部で処理し,...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 490 - 493 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.68.490 |
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Summary: | 症例は54歳,女性.貧血を主訴に近医受診.大腸内視鏡検査で肛門縁より約50cmの横行結腸に2型病変認め生検で高分化腺癌と診断され当院へ紹介された.腹部CT検査にてトライツ靭帯の形成不全があり,上行結腸が正中を走行,3D血管構築にて上腸間膜動脈(SMA)が上腸間膜静脈(SMV)の右側に存在する腸回転異常を認めた.腫瘍は横行結腸脾弯曲寄りに認め,T3 N2 M0 cStageIIIbで腹腔鏡下結腸左半切除術を施行した.上行結腸は正中を走行し,肝弯曲は形成されておらず,右上腹部に小腸を確認できた.また脾弯曲部は固定されていなかった.支配血管は中結腸動脈および左結腸動脈で,それぞれ慎重に根部で処理し,D3郭清とした.術後合併症はなく第8病日に退院となった. 腸回転異常症の報告は小児に多く成人例は比較的稀である.術前に腸回転異常症の併存を疑うことで,通常腹腔鏡手術における重要な構造物の破格を事前に予測することができ,安全に腹腔鏡手術が施行可能であった. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.68.490 |