肛門部子宮内膜症の5例

肛門部子宮内膜症は稀な肛門疾患で,分娩時に子宮内膜組織片が会陰切開創に移植することで発生する.今回,肛門部子宮内膜症の5例を経験した.初診時の年齢は30~43歳で,主訴は肛門の腫れと痛みであり,最終分娩から初診まで2~16年経過していた.全例に肛門前方の圧痛を伴う硬結を認めたが,皮膚の発赤や黒色変化を伴う皮膚隆起型が3例,皮膚表面には変化を認めない皮下硬結型は2例であった.肛門管超音波検査では低エコー腫瘤と描出され肛門管との連続は認めなかったが,皮下硬結型では肛門括約筋への浸潤を認めた.腫瘤切除手術は4例に行われたが,2例に再発を認め,ホルモン治療の追加が行われた.本症の診断に肛門管超音波検査...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 228 - 234
Main Authors 豊永, 敬之, 松田, 博光, 祇園, 智信, 壬生, 隆一, 冨永, 洋平, 吉田, 佳弘, 山本, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.228

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Summary:肛門部子宮内膜症は稀な肛門疾患で,分娩時に子宮内膜組織片が会陰切開創に移植することで発生する.今回,肛門部子宮内膜症の5例を経験した.初診時の年齢は30~43歳で,主訴は肛門の腫れと痛みであり,最終分娩から初診まで2~16年経過していた.全例に肛門前方の圧痛を伴う硬結を認めたが,皮膚の発赤や黒色変化を伴う皮膚隆起型が3例,皮膚表面には変化を認めない皮下硬結型は2例であった.肛門管超音波検査では低エコー腫瘤と描出され肛門管との連続は認めなかったが,皮下硬結型では肛門括約筋への浸潤を認めた.腫瘤切除手術は4例に行われたが,2例に再発を認め,ホルモン治療の追加が行われた.本症の診断に肛門管超音波検査は参考となりうる可能性がある.本症の皮膚隆起型と皮下硬結型では,理学的所見や肛門括約筋への浸潤度に違いを認めた.本症の治療は年齢,挙児希望,自覚症状,括約筋浸潤の程度などに基づいて選択するのが望ましい.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.228