腹部大動脈瘤を併存した大腸癌に対し,ステントグラフト内挿術を先行し,二期的手術を施行した2例
腹部大動脈瘤を併存した大腸癌に対し,ステントグラフト内挿術を先行し,二期的手術を施行した2例を経験したので報告する.症例1:83歳,男性.腹部大動脈瘤に対し外科的治療を勧められたが治療を拒否していた.下血,ふらつきを主訴に精査した結果,高度貧血を伴った上行結腸癌と最大短径100mmの腹部大動脈瘤を認めた.症例2:82歳,男性.腹部膨満を主訴に精査した結果,大腸イレウスを伴った直腸S状部癌と最大短径54mmの腹部大動脈瘤を認めた.2症例とも人工血管の感染リスクを考慮し,ステントグラフト内挿術を先行した二期的手術の方針とした.先行手術から各々7日後と11日後に大腸癌手術を施行した.症例2ではステン...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 109 - 114 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.73.109 |
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Summary: | 腹部大動脈瘤を併存した大腸癌に対し,ステントグラフト内挿術を先行し,二期的手術を施行した2例を経験したので報告する.症例1:83歳,男性.腹部大動脈瘤に対し外科的治療を勧められたが治療を拒否していた.下血,ふらつきを主訴に精査した結果,高度貧血を伴った上行結腸癌と最大短径100mmの腹部大動脈瘤を認めた.症例2:82歳,男性.腹部膨満を主訴に精査した結果,大腸イレウスを伴った直腸S状部癌と最大短径54mmの腹部大動脈瘤を認めた.2症例とも人工血管の感染リスクを考慮し,ステントグラフト内挿術を先行した二期的手術の方針とした.先行手術から各々7日後と11日後に大腸癌手術を施行した.症例2ではステントグラフト内挿術に先立ち,大腸ステントを留置することで安全に治療を進められた.自験例では短期間で安全に治療が完遂できており,腹部大動脈瘤を併存した大腸癌における有用な治療戦略の1つと考えられた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.73.109 |