卵巣癌直腸転移の1切除例

卵巣癌術後に直腸転移をきたしたまれな症例を経験したので報告する. 症例は56歳女性,2年2ヵ月前に卵巣癌に対して子宮両側付属器切除術,骨盤内側方リンパ節郭清,大動脈周囲リンパ節郭清,広範囲大網切除術を施行した.術後補助化学療法を行った後は,再発転移を認めなかった.1ヵ月前より便通異常と血便が出現した.CT検査にて下部直腸に壁肥厚と内腔の狭細化,および肝S7に径26mmの環状濃染を伴う占拠性病変を認めた.大腸内視鏡検査では,直腸Rbの腫瘍性病変により内腔ほぼ閉塞しており,生検にて腺癌と診断された.手術目的で当科紹介となり,下部進行直腸癌とその肝転移の診断の下,開腹手術を行った.直腸の腫瘍はS状結...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 121 - 126
Main Authors 岡本, 有三, 中川, 健二, 平田, 雄三, 中山, 宏文, 大城, 望史, 吉岡, 伸吉郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.121

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Summary:卵巣癌術後に直腸転移をきたしたまれな症例を経験したので報告する. 症例は56歳女性,2年2ヵ月前に卵巣癌に対して子宮両側付属器切除術,骨盤内側方リンパ節郭清,大動脈周囲リンパ節郭清,広範囲大網切除術を施行した.術後補助化学療法を行った後は,再発転移を認めなかった.1ヵ月前より便通異常と血便が出現した.CT検査にて下部直腸に壁肥厚と内腔の狭細化,および肝S7に径26mmの環状濃染を伴う占拠性病変を認めた.大腸内視鏡検査では,直腸Rbの腫瘍性病変により内腔ほぼ閉塞しており,生検にて腺癌と診断された.手術目的で当科紹介となり,下部進行直腸癌とその肝転移の診断の下,開腹手術を行った.直腸の腫瘍はS状結腸に浸潤しており,超低位前方切除術,回腸ストーマ造設術を行った.最終病理診断は卵巣癌の直腸転移であり,直腸周囲組織および腹膜を介してS状結腸に浸潤していた.また,リンパ節30個中10個に転移を認めた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.121