開心術症例における非A非B肝炎発生防止対策の検討

開心術時の輸血に伴う非A非B肝炎(輸血後肝炎)1)2)は, 単に外科医にとり不快な合併症であるだけでなく, 患者にとってきわめて重大な問題であり, とくにその慢性化率の高さや, 肝硬変, 肝細胞癌への移行の可能性などを考えると, もはや看過できない事態といえよう. 数種あると推定される非A非B肝炎の病原ウイルスが確定されていない現時点で, 唯一の確実な防止策は同種血液および血液製剤を一切使用しないこと, すたわち人工心肺の無血充填をふくむ無輸血開心術3), あるいは保存自家血のみの使用による開心術の実施と思われるが, 重症例, 貧血例など, 症例によってはその実施に多くの制約があり, すべての...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 16 - 20
Main Authors 成松, 元治, 黒岩, 正行, 井上, 純子, 高木, 正剛, 釘宮, 敏定, 橋谷田, 博, 渡辺, 良子, 柴田, 隆一郎, 太田, タキ子, 宮川, 尚孝, 山内, 秀人, 金村, 真智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1989
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.35.16

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Summary:開心術時の輸血に伴う非A非B肝炎(輸血後肝炎)1)2)は, 単に外科医にとり不快な合併症であるだけでなく, 患者にとってきわめて重大な問題であり, とくにその慢性化率の高さや, 肝硬変, 肝細胞癌への移行の可能性などを考えると, もはや看過できない事態といえよう. 数種あると推定される非A非B肝炎の病原ウイルスが確定されていない現時点で, 唯一の確実な防止策は同種血液および血液製剤を一切使用しないこと, すたわち人工心肺の無血充填をふくむ無輸血開心術3), あるいは保存自家血のみの使用による開心術の実施と思われるが, 重症例, 貧血例など, 症例によってはその実施に多くの制約があり, すべての患者に無輸血開心術を実施するのは不可能に近い.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.35.16